民事訴訟

Q 令和8年度の予備試験の解答を教えて下さい。

2026/09/14 更新

設問1
第1
 1 問題
(1)Xは、Yに対し売買契約に基づいて売買代金150万円を請求する訴訟を提起した。
(2)被告であるYの本店所在地を管轄するのは乙地方裁判所等である。
(3)売買契約の代金支払い地であるXの住所地を管轄するのは甲地方裁判所等である。
(4)この訴訟の法定管轄裁判所はどこか。 
2 事物管轄
(1)簡易裁判所は、140万円以下の訴訟について管轄を有する(裁判所法24条1項1号)。
(2)地方裁判所は、140万円を超える訴訟と、(140万円以下を含む)土地の訴訟について管轄を有する(裁判所法33条1項1号)。
(3)本件訴訟は140万円を超える訴訟であるから、地方裁判所が管轄を持つ。
3 土地管轄
(1)本件訴訟の被告であるYの本店所在地を管轄する乙地方裁判所が管轄を有する(民事訴訟法4条1項)。
(2)本件訴訟では義務履行地として、売買契約の代金支払い地であるXの住所地を管轄する甲地方裁判所が管轄を有する(民事訴訟法5条1号)。

設問2
第2
 1 概要
(1)Xは、Yに対し売買契約に基づいて売買代金150万円を請求する訴訟を提起した。・・・①
 同訴訟は甲地方裁判所に係属した。
(2)Yは、買主はYではなくXであると主張した。
(3)Xは、Zに対し売買契約に基づいて売買代金150万円を請求する訴訟を提起する予定である。・・・②
 同訴訟は、義務履行地として、売買契約の代金支払い地であるXの住所地を管轄する甲地方裁判所が管轄を有する(民事訴訟法5条1号)。
 2 民事訴訟法38条の要件
(1)通常共同訴訟の要件は、「権利・義務が共通している場合や、同一の事実・法律上の原因に基づいている」場合に成立する(民事訴訟法38条)。
(2)本件では、売買契約の買主が誰かとい訴訟であるから、①②の訴訟は同一の事実・法律上の原因に基づいているので、通常共同訴訟の要件を満たす。
 3 別訴提起と併合
(1)まず、Xは②の訴訟を別に提起して、①の訴訟と併合する(民事訴訟法152条)ように裁判所に上申することが考えられる。
(2)しかし、併合されるかどうかは、裁判所の裁量となる。
(3)①と②の訴訟は、通常共同訴訟の要件(民事訴訟法38条の要件)を満たすことから、①の訴訟Zを被告として追加することはできないか。
 4 主観的追加的併合
(1)訴訟の継続中に当事者を追加する主観的併合については、民事訴訟法38条の要件を満たす場合でも認められない。
(2)なぜなら、法律の定めないことや、新しい被告の手続保障が問題となることや、新しい被告のために訴訟の審理を少し巻き戻す必要があれば、訴訟が遅延するなど、訴訟が複雑化するかもしれない。
(3)訴訟の進行によっては、併合を認めるかどうか、裁判所が判断する「別訴提起と併合」の手段の方が穏当であるからである。
 5 同時審判申出共同訴訟
(1)同時審判申出共同訴訟の要件として、①「共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある」ことが必要である(民事訴訟法41条)。
(2)同時審判申出共同訴訟となれば、弁論および裁判の分離が禁止される (民事訴訟法41条)。
(3)売買契約の買主がYなのかZなのかは両立上両立しないので、同時審判申出共同訴訟の要件を満たす。
(4)よって、Xは、②の訴訟が併合されれば、同時審判の申出をすれば分離されないので、同申出をすべきである。

設問3
第3
1 問題
(1)Xは、Yに対し売買契約に基づいて売買代金150万円を請求する訴訟を提起した。
  ①Xは、Yが買主であると主張した。
  ②Yは、Zが買主であると主張した。
(2)裁判所は、③YとZが共同買受けしたと心証を抱いた。
(3)しかし、当事者が③の主張をしていないため、上記の事実を認定することは弁論主義に反しないか。
2 弁論主義の趣旨
(1)弁論主義は、民事訴訟においては、当事者は裁判の基礎となるべき事実及び証拠の収集、提出において、当事者がこれを決定する権限を有し、その義務を負う、という原則である。
(2)弁論主義の根拠は、民事訴訟で審理の対象となる紛争については、もともと当事者が自由に話し合って解決することができるものであるからである(私的自治説)。
3 弁論主義の第一テーゼ
  裁判所は当事者の主張しない事実を認定できない。
4 あてはめ
(1)X及びYにとってみれば、③の事実は、①の事実と②の事実の双方について一部が認められたものであり、③の事実は、①の事実と②の事実の双方を組み合わせれば、当事者の主張した事実である。
(2)また、①の事実と②の事実が主張され、当事者の双方は、買主がYであるのか、Zであるのか主張立証する機会を得ている。
(3)よって、③の事実を認定しても弁論主義に反しない。
 以上

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

「民事訴訟」トップに戻る

Contact.お問い合わせ

ご質問・ご相談などお気軽に
お問い合わせください。