判例(改正前の遺留分減殺請求権を行使すると、遺贈は遺留分を侵害する限度で失効し、受遺者が取得した権利はその限度で当然に減殺請求をした遺留分権者に帰属する(形成権・物理的効果説)。受遺者は、遺留分権者の持分の価格を賠償する旨の意思表示(改正前の民法1041条)をすれば、返還義務を免れることができる。この場合には、遺留分権利者は受遺者に対して、価格賠償請求権を行使できる。しかし、受遺者が、持分の価格を賠償する旨の意思表示をしていない場合に、裁判所が受遺者に価格賠償を命じることはできない。)

2026/09/26 更新

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最判令和7年7月10日 判例タイムズ1547号62頁

 改正前の遺留分減殺請求権を行使すると、遺贈は遺留分を侵害する限度で失効し、受遺者が取得した権利はその限度で当然に減殺請求をした遺留分権者に帰属する(形成権・物理的効果説)。受遺者は、遺留分権者の持分の価格を賠償する旨の意思表示(改正前の民法1041条)をすれば、返還義務を免れることができる。この場合には、遺留分権利者は受遺者に対して、価格賠償請求権を行使できる。しかし、受遺者が、持分の価格を賠償する旨の意思表示をしていない場合に、裁判所が受遺者に価格賠償を命じることはできない。

解説

1 改正前
 改正前の遺留分減殺請求権を行使すると、遺贈は遺留分を侵害する限度で失効し、受遺者が取得した権利はその限度で当然に減殺請求をした遺留分権者に帰属する(形成権・物理的効果説)。受遺者は、遺留分権者の持分の価格を賠償する旨の意思表示(改正前の民法1041条)をすれば、返還義務を免れることができる。この場合には、遺留分権利者は受遺者に対して、価格賠償請求権を行使できる。しかし、受遺者が、持分の価格を賠償する旨の意思表示をしていない場合に、裁判所が受遺者に価格賠償を命じることはできない。)

2 改正後の遺遺留分侵害額請求
(1)改正後の遺遺留分侵害額請求では、これを行使すると、現物の返還ではなく、価格の限りで賠償請求できるようになりました。
(2)改正前と比べれば、受遺者が、遺留分権者の持分の価格を賠償する旨の意思表示(改正前の民法1041条)をしなくても、遺留分権利者は受遺者に対して、価格賠償請求権を行使できる、という形になったということです。
(3)本判決は、改正前の遺留分減殺請求権の成立について明確にした判例です。

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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