判例(暴力団によるみかじめ料の支払拒否運動をしていた被害者が殺害された。同行為について、暴対法の「威力利用資金獲得行為」にあたるとして暴力団の総長・会長の損害賠償責任が認められた。)
2026/10/30 更新
このページを印刷福岡高判令和6年10月9日 判例タイムズ1548号159頁
(1)暴力団によるみかじめ料の支払拒否運動をしていた被害者が、銃撃で殺害された。
(2)同行為について、暴対法の「威力利用資金獲得行為」にあたる。したがって、暴力団の総長・会長の損害賠償責任が認められる。
解説
1 最判平成16年11月12日民集58巻8号2078頁
(1)最判平成16年11月12日民集58巻8号2078頁は、警察官が組員から、対立する組織の構成員と誤認されて射殺された。この件について、民法715条により、暴力団の組長に損害賠償義務を認められた。
(2)しかし、民法715条による請求をするには、使用者性や事業性が問題となる。
2 暴対法31条の2は、「威力利用資金獲得行為
(1)暴対法31条の2は、「威力利用資金獲得行為」について、暴力団の代表者の損害賠償義務を認める。
(2)威力利用資金獲得行為は、当該指定暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得、又は当該資金を得るために必要な地位を得る行為をいう。
(3)本判決は、暴力団によるみかじめ料の支払拒否運動の阻害は、威力利用資金獲得行為にあたる。
その前提として、暴力団によるみかじめ料の支払拒否運動をしていた被害者が、銃撃で殺害されたことは、暴力団によるみかじめ料の支払拒否運動の阻害のために行われた行為だと認定した。
| 暴対法31条 対立抗争等に係る損害賠償責任 1項 指定暴力団の代表者等は、当該指定暴力団と他の指定暴力団との間に対立が生じ、これにより当該指定暴力団の指定暴力団員による暴力行為(凶器を使用するものに限る。以下この条において同じ。)が発生した場合において、当該暴力行為により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 2項 一の指定暴力団に所属する指定暴力団員の集団の相互間に対立が生じ、これにより当該対立に係る集団に所属する指定暴力団員による暴力行為が発生した場合において、当該暴力行為により他人の生命、身体又は財産を侵害したときも、前項と同様とする。 暴対法31条の2 威力利用資金獲得行為に係る損害賠償責任 1項 指定暴力団の代表者等は、当該指定暴力団の指定暴力団員が威力利用資金獲得行為(当該指定暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得、又は当該資金を得るために必要な地位を得る行為をいう。以下この条において同じ。)を行うについて他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。 一 当該代表者等が当該代表者等以外の当該指定暴力団の指定暴力団員が行う威力利用資金獲得行為により直接又は間接にその生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得、又は当該資金を得るために必要な地位を得ることがないとき。 二 当該威力利用資金獲得行為が、当該指定暴力団の指定暴力団員以外の者が専ら自己の利益を図る目的で当該指定暴力団員に対し強要したことによって行われたものであり、かつ、当該威力利用資金獲得行為が行われたことにつき当該代表者等に過失がないとき。 |
参考
判例タイムズ1548号159頁
暴対法31条の2は、「威力利用資金獲得行為」について、簡潔な説明が記載されている。




