【重要判例】判例(債務不存在の訴えについて、その債権について支払いを求める給付請求の反訴が提起されたときには、債務不存在の訴えは訴えの利益がなくなる。)
2026/08/28 更新
最判平成16年3月25日民集58巻3号753頁
「Y 社の本訴(死亡保険金支払債務の不存在確認請求に関わる訴え)については、X社の本件保証契約に基づく保険金の支払を求める反訴が提起されている以上は、もはや確認の利益をみとめることができないから、Y者の本訴は、不適法といsて却下を免れない。」「したがって、Y社の本請求に関する部分は、破棄を免れず、同部分につき第1審判決を取り消して、同請求に関わる訴えを却下する。 」
解説
反訴提起と二重起訴の問題
(1)債務不存在の訴えと、その債権について支払いを求める給付請求の訴訟物は同一なので、この反訴は二重起訴にあたる(民事訴訟法142条)。
(2)ただし、支払いを求める給付請求が債権の存否だけを確認する確認の訴訟よりも紛争解決には適切であるから、債務不存在の訴えについて訴えの利益が消滅したとしして、両請求が係属しないことになる結果、二重起訴の問題は生じない、という処理となる。
(3)なお、反訴提起の場合には、債務存在の訴えがある程度進んでいても、その訴訟状態を給付訴訟にそのまま利用できるメリットがある。
一部請求
例えば、債務不存在訴訟の訴えに対し、明示的一部請求を請求した場合に、残部の支払い等がないことを確認を求める部分について債務不存在の訴えについて訴えの利益は存在し、二重起訴にあたらないことから存続させることになろう(令和2年度の司法試験の設問1で問われている)。
別訴提起
(1)債務不存在訴訟について、別訴で給付の訴えが別訴提起された場合どのように考えるべきだろうか。
(2)まず、債務不存在訴訟がある程度進んでいるかどうかを検討すべきである。
(3)債務存在の訴えがある程度進んでいる場合には、債務不存在の訴えの利益が失われるとすると、同訴訟が無駄になる。その合には、別訴提起は二重起訴に反し許されない、と処理する(藤田広美「解析 民事訴訟 第2版」143頁)。
(4)これに対して、債務存在の訴えがある進んでいない場合には、給付の訴えが二重起訴に反し許されない、という処理をすることになるだろう(岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻」108頁)。
(この問題は、平成22年の旧司法試験の第1問や、平成30年度の司法試験の設問1の課題(2)で問われている)。
参考
田中豊 「論点精解 民事訴訟法〔改訂増補版〕」 269頁




