民事訴訟

判例(前訴の口頭弁論終結前に、訴訟の目的物について登記を得た、その権利移転が通謀虚偽表示であって根拠がないときには、民事訴訟法115条1項4号の他人のために目的物を所持する者として、前訴の既判力が及ぶ)

2026/09/12 更新

大阪高判例昭和46年4月8日判例時報633号73頁

 「AからYへの本件各土地の移転登記は、贈与その他有効な登記原因を伴わない通謀虚偽表示に該当し、」「Y自身のため登記名義を保有すべきなんらの利益も理由もないものといわざるをえない。」「本訴の実質上の当事者(被告・控訴人)はAそれ自体であり、同社が自己に対し実体法上依存関係にあるYの名の下に応訴しているものと見るべきである。」Yによる争いは 、「結局前訴におけると同一の紛争の蒸し返しにほからなない。」「民訴法201条1項(現115条1項3号)にいう「請求ノ目的物ヲ所持スル者」につき「本件のYのように、」「単に前訴の当事者のために登記名義人になっているにすぎない者は、請求の目的物の所持者に準じ、これに既判力を及ぼす類推解釈が可能となる。」このため、YがA・X間の売買を否定することは既判力に抵触し許されない。」

解説

1 訴訟承継による解決はできない

(1)訴訟係属中の訴訟物たる金銭債権の譲渡を受けたり、訴訟当事者から目的物の所有権(もしくは占有)が譲渡(設定)されたりした場合には、参加承継・引受承継の問題である。
(2)しかし、係争物が譲渡されても参加承継も引受承継も行われず、従前の当事者と相手方の間で判決がされて確定した場合には、その判決の効力は承継人には及ばない。このような建前は、訴訟承継主義と呼ばれています。

2 「請求の目的物を所持する者」
(3)民事訴訟115条1項4号の「請求の目的物を所持する者」は、訴訟の当事者とは別に、独自の利害関係を有する者である。
(2)本判決は、登記を有するだけの者であり、独自の利害関係を持たない者から、民事訴訟115条1項4号の「請求の目的物を所持する者」にあたり判決効が及ぶとしました。

参考

 民事訴訟法判例百選(第6版)248頁

民事訴訟法115条 (確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
1項 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
 一 当事者
 二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
 三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
 四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2項 前項の規定は、仮執行の宣言について準用する

 


 

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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