民事訴訟

判例(民事訴訟法38条の要件を満たすとしても、訴訟の継続中に当事者を追加する主観的併合については認められない。なぜなら、別訴を提起して併合すれば足りること、法の定めがないこと、途中参加の当事者の手続保障や、訴訟の遅延が問題となるからである。)

2026/10/26 更新

最判昭和62年7月17日民集41巻5号1402頁

民事訴訟法38条の要件を満たすとしても、訴訟の継続中に当事者を追加する主観的併合については認められない。なぜなら、別訴を提起して併合すれば足りること、法の定めがないこと、途中参加の当事者の手続保障や、訴訟の遅延が問題となるからである。

解説

(1)民事訴訟法38条の要件を満たす場合に、訴訟の継続中に当事者を追加する主観的併合(例えば、交通事故で不法行為者だけでなく、その雇用主を使用者責任の追及として被告として追加する)ことについては、①紛争の本質が同一であれば、②新たな被告が別に主張や証拠を出す機会を保障すれば、訴訟を2度提起しなくて済む。
(2)しかし、判例は、訴訟の継続中に当事者を追加する主観的併合については、民事訴訟法38条の要件を満たす場合でも認められない、とした。
(3)確かに、別訴を提起して併合すれば足りる。なお、並行するかどうは、裁判所の裁量的判断となる。
(4)次に、法律の定めないことや、新しい被告の手続保障が問題となるために、訴訟の審理を少し巻き戻す必要があるかもしれないし、それでも、すでに成立した訴訟状態に新しい被告が拘束されると、新しい被告と不利益になるというのが判例の理由とである。
(5)現実問題としては、旧訴訟の訴訟状態を利用するべき場合もあれば、そうでない場合もある。そうだとすれば、裁判所が弁論の許否で調整すればよいというのが実務的な解決になってくるだろう。

参考

 民事訴訟法判例百選(第6版)190頁

(1)主観的追加的併合は、司法試験平成20年、令和4年、予備試験平成26年、令和8年で出題されている。
(2)司法試験・予備試験では、判例で否定されている反対説(有力説)についても出題されている。
  頻出論点(弁論主義、既判力、通常共同訴訟)については、反対説(有力説)についても理解しておくのが無難であろう。

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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