判例(訴えの取下げの合意と、訴えの取下げの無効)
2026/08/23 更新
最判昭和44年10月17日17日民集10号1825頁
1 判決の内容
訴訟外で、訴えの取下げの合意がされると、訴えの利益を欠くので、訴訟は却下される。
(参考 民事訴訟法判例百選(第6版)182頁)
2 解説
(1)上記は、私法上の合意として訴えの取下げの合意をしたことの訴訟上の効力の問題です。
(2)訴訟にて訴えの取下げをした事案とは異なることに注意が必要です。
最判昭和46年6月25日民集25巻4号640頁
1 判決の内容
(1)訴訟手続にて、訴えの取下げをした。訴えの取下は訴訟行為であるから、私法上の意思の瑕疵の規定は直ちに適用されない。
(2)詐欺脅迫等明らかに刑事上罰すべき他人の行為により訴の取下がなされるにいたったときは、再審事由を定めた現民訴法338条1項5号の法意に照らし、訴えの取下は無効となる。
(2)もっとも、いったん確定した判決に対する不服の申立である再審とは異なり、同条2項の適用はなく、必ずしも右刑事上罰すべき他人の行為につき、有罪判決の確定は不要である。
2 解説
(1)判例は、訴えの取下げは訴訟行為であること理由に、実体法である民法の適用を否定する。
(2)しかし、訴えの取下げは判決による訴訟の終了ではなく、当事者の意思による訴訟の終了である。訴えの取下げが認められると実体法の権利が行使できなくなる。当事者の意思に瑕疵がある場合にはそれを救済すべき事情は変わらない。したがって、民法の意思表示の瑕疵がある場合には、訴えの取下げの無効を主張できる、という考えかも有力である。
(参考 民事訴訟法判例百選(第6版)180頁)
| 民事訴訟法3338条 再審の事由 1項 次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。 (省略) 五 刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと。 (省略) 2 前項第四号から第七号までに掲げる事由がある場合においては、罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき、又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り、再審の訴えを提起することができる。 3 控訴審において事件につき本案判決をしたときは、第一審の判決に対し再審の訴えを提起することができない。 |
解説
本判決は、訴えの取下げは訴訟行為である。




