Q 令和8年度の予備試験の問題を教えて下さい。
2026/09/14 更新
[民事訴訟法](〔設問1〕から〔設問3〕までの配点の割合は、3:3:4)
次の文章を読んで、後記の〔設問1〕から〔設問3〕までに答えなさい。
なお、本問に現れる場所のうち、甲市は甲高等裁判所、甲地方裁判所、甲家庭裁判所及び甲簡易裁判所の管轄区域内に、乙市は乙高等裁判所、乙地方裁判所、乙家庭裁判所及び乙簡易裁判所の管轄区域内に、丙市は丙高等裁判所、丙地方裁判所、丙家庭裁判所及び丙簡易裁判所の管轄区域内にそれぞれ所在している。
【事例】
令和8年4月、X(住所:甲市内)は、株式会社Y(本店所在地:乙市内。以下「Y社」という。)を被告として、鉄材の売買契約(以下「本件契約」という。)に基づき、売買残代金150万円の支払を求める訴えを提起した(以下、この訴えに係る訴訟を「本件訴訟」という。)。本件訴訟におけるX及びY社の主張は次のとおりであった。
Xの主張 :Xは、令和7年12月15日、Z(住所:丙市内)の紹介により、丙市内の倉庫に保管していたX所有の鉄材(以下「本件鉄材」という。)を代金300万円でY社に売り渡した。上記売買代金300万円は、同月22日限りXの住所地において支払うものとし、本件鉄材は、売買代金の支払の確認後に引き渡すものと約定された。
本件契約に係る商談は、X、Z及びY社代表取締役Aの三者立会の上で行われた。
令和7年12月22日、上記売買代金300万円のうち、150万円がZからⅩに支払われた。Xは、代金全額の支払がなかったため本件鉄材を引き渡さずにいたが、同月23日、A及びZから鉄材の引渡しを懇請されたため、3日以内に残金を支払う旨の確約を得て、同日、本件鉄材を引き取りにきたZに本件鉄材全部を引き渡した。残金150万円については、上記確約にもかかわらず、今日まで支払がない。
Y社の主張:Xが本件鉄材を売り渡したのは、Y社ではなく、Zである。本件鉄材は、XがZに売り渡した後に、Y社がZからその一部を買い受けたものであり、その代金はZに対して支払済みである。
〔設問1〕
本件訴訟の法定管轄裁判所はどこか。事件の種類及び訴訟の目的の価額に留意しつつ説明しなさい。
〔設問2〕
Xは、第1回口頭弁論期日において、Y社が上記主張をしたことを受けて、仮にY社の主張のとおり本件鉄材の買主がZであるならば、買主であるZに対して売買残代金150万円の支払を命ずる判決を得たいと考えた。
この場合に、Xが㋐本件訴訟と同一手続内でZに対する請求についても判断を得るにはどのような方法によることが考えられるか、検討しなさい。本設問の検討に当たっては、①主観的追加的併合の適否に関する判例(最高裁判所昭和62年7月17日第三小法廷判決・民集41巻5号1402頁)の立場を明らかにした上で、当該判例が言及する方法を示すこと。また、②その方法によれば下線部㋐が確実に実現されるかについても論ずること。なお、本件訴訟は甲地方裁判所に係属中であるものとする。
【事例(続き)】(〔設問2〕の問題文中に記載した事実は考慮しない。)
本件訴訟において当事者の提出した証拠から、本件契約に係る商談が本件鉄材の保管場所であった倉庫内の一室において、X、Z及びAの三者立会の上で行われたこと、本件鉄材の引渡しに関してA及びZの両者からXに対して懇請があったこと、本件鉄材はその全てがZの倉庫に運び込まれた後に、一部がY社の工場に運び込まれ、残りはZの取引先に転売されたこと等が明らかとなった。
本件訴訟を担当している裁判官は、審理の結果を踏まえて、本件契約がY社及びZを共同買主とする一個の売買契約である可能性もあると考えたが、Y社及びZの共同買受けという事実は当事者のいずれからも主張されていないので、㋑Y社及びZの共同買受けという事実を判決の基礎とすることは弁論主義に反して許されないのではないかとの懸念を抱いた。
〔設問3〕
下線部㋑の当否について検討しなさい。本設問の検討に当たっては、当事者が主張した事実と裁判所が判決の基礎としようとしている事実の食い違いの有無及び程度に留意しつつ、弁論主義の根拠や機能を踏まえること。
なお、弁論主義の適用範囲については議論があるが、本設問の検討に当たっては、主要事実に限られるとの理解を前提とすること。また、釈明権や釈明義務について言及する必要はない。




