民事訴訟

Q 債務者に訴訟告知がされなかった場合に、債権者代位訴訟の判決の効力は、債務者に及ぶか。

2026/09/13 更新

債権者代位訴訟の既判力

(1)債権者代位は第三者の訴訟担当であるから、債権者に対する判決の効力は、勝訴敗訴に関わらず、債権者代位訴訟の当事者である債権者(115条1項1号)のみならず、当該債権の帰属者である債務者にも及ぶ(115条1項2号)。
(2)債権者代位訴訟の本判決の既判力は、勝訴敗訴に関わらず、他の債務者にも及ぶのが原則である。

債権者代位訴訟を知らなかった債務者の救済

(1)しかし、上記結論は、債権者代位訴訟を知らなかった債務者の手続保障に欠くものである。
(2)民法423条の6は、債務者の手続保障のため、債権者は債務者に訴訟告知しなければならないとする。
(3)上記の規定の趣旨は、債務者が手続保障の機会を与えることにあるから、同通知を欠く場合には債務者に債権者代位訴訟の効力は及ばないと解してよいだろう。

(1)債権者代位訴訟の判決の効力が債務者に及ぶことについて、債務者の手続保障をどのように考えるのか、という問題がある。
(2)民法423条の6の制定前では、以下のような議論が存在した。
 債権者代位訴訟で請求棄却判決が出て確定した後も、債務者は債権者代位訴訟の当事者適格の不存在(被保全債権と無資力)を立証すれば、「他人のために」(民事訴訟法115条1項2号)という要件を欠くために、債権者代位訴訟の判決の効力を否定できるという考え方も存在した。(名津井吉裕ほか「事例で考える民事訴訟法 」111頁)
(3)民法423条の6は、債務者の手続保障のため、債権者は債務者に訴訟告知しなければならない(民法423条の6)としている。
(4)訴訟告知をされた後に、債務者が自己の判断で訴訟に参加しなかった場合に、同様の考え方を正当化できるかは疑問があろう。

参考

 名津井吉裕ほか「事例で考える民事訴訟法 」109頁、110頁、111頁
 

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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