民事訴訟

Q 平成12年度の司法試験の第2問の解答を教えて下さい。

2026/09/10 更新

第1 
 1 問題
 (1)XとY間で、「相続財産の範囲で〇〇円を支払え」との限定承認の存在及び効力を認めた前訴訟が確定した。
 (2)Xは、限定承認の効力を争うことができるか。
 2 訴訟物
(1)既判力は、訴訟物に生じる(民事訴訟法114条1項)。「限定承認が成立しているので、仮に支払いが認められたとしても、その支払額は相続財産の範囲に限られる。」との限定承認の主張がされている場合に、限定承認の存在及び効力は訴訟物となるか。
 仮に、訴訟物となるとすると、Xの主張は前訴の既判力と矛盾する主張は許されない。
(2)しかし、限定承認は、「相続財産の範囲で〇〇円を支払う」という責任範囲の問題であって、訴訟物である請求権の存否の問題ではないから、訴訟物にあたらない。
 3 既判力に準じた効力
(1)「限定承認が成立しているので、仮に支払いが認められたとしても、その支払額は相続財産の範囲に限られる。」との限定承認の主張がされており、限定承認の存在及び効力は争点となっている。
(2)したがって、限定承認を争うことは訴訟の蒸し返しであるし、かつ、原告はこれを争うことができたのであるから、後訴で争う機会を与える必要はない。
 4 結論
(1)「相続財産の範囲で〇〇円を支払え」との限定承認の存在及び効力についての判決には既判力に準じた効力が認められる。
(2)よって、Xの主張は前訴の同効力と矛盾する主張は許されない。

第2
 1 問題
 (1)XとY間で、Yが限定承認の主張をしないために、無留保で請求を認める前訴訟が確定した。
 (2)Yは、Xに対して、「Xが、限定承認の事実を知りながら、相続範囲の範囲を超えて判決の執行をしたことが違法である。」として損害賠償請求したが、違法であるといえるか。
 2 限定承認と訴訟物
(1)しかし、限定承認は、「相続財産の範囲で〇〇円を支払う」という責任範囲の問題であって、訴訟物である請求権の存否の問題ではないから、訴訟物にあたらない。
(2)例えば、当事者が前訴で限定承認の主張をしなかったために、無留保で請求を認める判決が確定した。その、後日、限定承認をしているのでその支払は相続財産の範囲に限られる、と争うことは許される。
 3 結論
(1)無留保の判決が確定としても、Yは、後訴訟で限定承認の主張ができる。
(2)したがって、Xが、Yの限定承認の事実を知りながら、相続範囲の範囲を超えて判決の執行をしたことが違法である。これに基づいて損害賠償請求することも許される。
 以上

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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