Q 平成24年度の予備試験の解答を教えて下さい。
2026/08/14 更新
設問1
第1
1 問題
(1)第1訴訟では、Xは、売買契約に基づく代金請求として400万円のうち150万円を支払えという訴訟を提起した。
(2)Yは買主はZであると争った。・・・①
(3)裁判所は、①の主張を認めずに、Xの請求を認めた。
(4)XがYに対し400万円の残金である150万円を請求する第2訴訟を提起する場合に、再び①の主張をすることが許されるのか。
2 既判力
(1)第1訴訟の既判力は、主文に包括するものに限り生じる(114条1項)。
(2)第1訴訟の訴訟物は、明示的一部請求であるから、訴訟物はその150万円である。
(3)第2訴訟である、残額250万円の訴訟は、訴訟物が異なり、第1訴訟の既判力は、第2訴訟に及ばない。
(4)もっとも、第1訴訟と第2訴訟の当事者は同じで、①の争点も全く同じであるから、Yが①の主張をすることは紛争の蒸し返しである。
3 争点効
(1)当事者が同じ、争点も同じ、紛争が蒸し返しである場合には、争点効により後訴訟は却下されないか。
(2)争点効の根拠は信義則である。
(3)信義則を根拠とするのであれば、争点効として一般的な要件を設定するよりも、事案の個別事情を考慮して信義則で対応した方が妥当な解決が図れる。
4 信義則
当事者が同じで、争点が同じなど、紛争の蒸し返しと評価される場合には、後訴訟は信義則により却下される。
5 あてはめ
本件では、第1訴訟と第2訴訟の当事者は同じで、①の争点も全く同じであるから、第2訴訟にて、Yが①の主張をすることは紛争の蒸し返しであり、信義則により許されない。
第2 問題
1 問題
(1)第2訴訟にて、Yは、契約不適合責任による損害賠償請求権の相殺を主張することを考えている。
(2)第1訴訟は第2訴訟の蒸し返しであるから、信義則により、第一訴訟の既判力が及ぶ範囲での主張は、第二訴訟でもできない。しかし、逆に言えば、第一訴訟の既判力で遮断されない主張は、第二訴訴訟でも主要してよいはずである。
(3)仮説として、第1訴訟の150万円について、Yは、契約不適合責任による損害賠償請求権の相殺を主張することが許されるか考えてみよう。
2 遮断効力
(1)実体法上は、訴訟の結果によって、取消権や解除権の行使を制限する理由はない。
既判力の基準時は、当該確定判決に係る訴訟の口頭弁論終結時です 。これらを行使したのは基準日後であるから、これらの行使は既判力では遮断されなくてもよいはずである。
(2)しかし、これらの行使を自由に認めては、紛争が蒸し返される結果、原告にとって大きな負担となる(法的安定性)。
被告はこれらを行使できたのにしなかったのであるから、これらの権利行使を認める必要はない(提出責任)。
3 あてはめ
(1)第一訴訟の口頭弁論終結時は平成23年である。Yが修理代を支払ったのは、平成22年である。したがって、Yは契約不適合責任による損害賠償請求権の相殺を主張ができるのにあえて行わなかったといえる。
(2)しかし、本件は、相殺の主張である。相殺は自働債権が消滅する。前訴訟で確定した原告の請求によって、被告が不利益を受ける結果は変わらない、という特徴がある。
4 結論
(1)第1訴訟にて、Yは、契約不適合責任による損害賠償請求権の相殺を主張することができる。
(2)第2訴訟には、第1訴訟の判断が信義則上及ぶが、Yは第1訴訟でも、Yは、契約不適合責任による損害賠償請求権の相殺を主張することができる。
したがって、第2訴訟でも、Yは上記主張をするこができる。
設問2
第3
1 問題
(1)XはYに対し、400万円の請求をしている。
(2)Yは、上記400万円について180万円を弁済したという抗弁を主張する。・・・①
(3)Yは、上記に加えて、300万円について相殺の抗弁を主張する。・・・・②
(4)裁判所はどのような順番で審理をすべきか。
2 訴訟上の相殺の抗弁
(1)②の抗弁は相殺の抗弁である。
(2)訴訟上の相殺は、裁判所において判断されることを停止条件として実体法上の効力が生じる。
(3)なぜなら、相殺が認められると、被告は自働債権を喪失し、実質敗訴する。したがって、他の抗弁が認められない場合に、訴訟上の相殺は審理されるという順番が決まっているからである。
3 あてはめ
(1)裁判所は、①の抗弁から認定すべきであるから、XのYに対する売買代金請求権は、①の抗弁により、400万円−180万円であるから220万円となる。
(2)次に、②の抗弁を認定することになるから、220万円の請求で、300万円の抗弁が認めらえれると、Xの請求は棄却となる。
4 既判力
(1)既判力は、主文に包括するものに限り生じるのが原則である(民事訴訟法114条1項)。
(2)被告が相殺の抗弁を主張し、その成否が裁判所に判断された場合、裁判所が自働債権を不存在としたその理由中の判断について「相殺をもって対抗した額」について既判力が生じる(民事訴訟法114条2項)。
(3)Yの訴訟上の相殺の抗弁については裁判所が審理しており、相殺をもって対抗した額220万円、つまり、契約不適合責任による損害賠償請求権300万円のうち、200万円が消滅した点について既判力が及ぶ。
5 結論
よって、裁判所は、「XはYに対し売買代金400万円が存在したこと」「そのうち180万円が弁済されたこと」「そのうち220万円が相殺で消滅したこと」したがって、「Xの請求(売買代金請求)は棄却となる。」と認定すべきである。
以上




