民事訴訟

Q 平成25年度の予備試験の解答を教えて下さい。

2026/09/13 更新

設問1
第1 
 1 問題
(1)債権者Aは、債務者Bを代位して、第三債務者Cに対し債権者代位訴訟を提起した。
(2)債務者Bは、債権者Aとの関係で、債権者代位訴訟の被保全権利である甲債権の存在を争い、かつ第三債務者Cとの関係で、代位されている乙債権の行使をしたいと考えている、どのような訴訟を提起すべきか。
 2 共同訴訟参加
(1)債権者Bは、先行する債権者代位訴訟に参加する方法としては共同訴訟参加がある(民事訴訟法52条)。
(2)しかし、同手続では、債権者の債務者に対する債権(被保全債権)の不存在を争えないから不適切である。
 3 独立当事者参加
(1)債権者Bは先行する債権者代位訴訟に独立当事者参加することが考えられる。
  債権者代位訴訟では、代位債権として、乙債権が行使されている。・・・①
(2)債務者Bは、債権者Aに対しては、債権者の債務者に対する債権(被保全債権)である甲債権の不存在確認を定立する。・・・②
(3)債務者Bは第三債務者Cに関しては、債務者Bが第三債務者Cに対して直接請求する請求を定立する。・・・③
(4)上記の債務者Bの訴えは、独立当事者参加の要件を満たすか問題となる。
 4 独立当事者参加
(1)独立当事者参加の権利主張参加の要件は、以下のとおりである(民事訴訟法47条)。
 (ア)他人間に訴訟が係属していること
 (イ)係属する訴訟の当事者双方または一方に対して当事者として請求を立てること
 (ウ)訴訟の全部もしくは一部が自己の権利であると主張すること
(2)すでに、(ア)AとCの債権者代位訴訟が存在する。(イ)債務者Bは債権者Aとの関係で、②の請求を定立し、第三債務者Cとの関係で、③の請求を定立している。
(3)訴訟の全部もしくは一部が自己の権利であると主張すること、つまり、両請求が両立しないことが必要となる。
 5 あてはめ
(1)裁判所が②の請求を認めれば、債権者代位訴訟は訴訟要件を満たさないと判断される。したがって、債権者代位訴訟の①の請求は訴訟要件を満たさず却下される。つまり、①の請求と②の請求は両立しない。
(2)裁判所が②の請求を認めれば、債権者代位訴訟は訴訟要件を満たさないと判断される。したがって、債権者代位訴訟の①の請求は訴訟要件を満たさず却下される。つまり、①の請求と③の請求は両立しない。
 6 二重起訴
(1)①の請求と③の請求の訴訟物は同じで、二重起訴となる(民事訴訟法142条)。
(2)しかし、債権者代位訴訟では、債務者に既判力が及ぶから、債務者の手続保障として訴訟参加の必要性は高く、独立当事者参加されれば、全ての訴訟を同一裁判所が判断するので矛盾も生じないのから、例外的に二重起訴に反しない。
7 結論
 以上より、債務者Bは先行する債権者代位訴訟に独立当事者参加する方法がある。

第2 
 1 概要
(1)独立当事者参加では、①②③の請求が並存している。
(2)債権者Aは、債務者Bを代位して、第三債務者Cに対し、債務者Bの第三債務者Cに対する乙債権を請求している。・・・①
(2)債務者Bは、債権者Aに対しては、債権者の債務者に対する債権(被保全債権)である甲債権の不存在確認を定立する。・・・②
(3)債務者Bは第三債務者Cに関しては、債権者Bが第三債務者Cに対して直接請求する請求を定立する。・・・③
 2 問題
(1)裁判所は、甲債権は存在せず、乙債権は存在すると判断した。
(2)裁判所は、どのような判決を出すべきだろうか。
 3 回答
(1)①については訴訟要件を欠くとして、請求を却下すべきる。
(3)②については認容判決をすべきである。
(4)③については認容判決をすべきである。

第3
 1 概要
(1)債権者Aは、債務者Bを代位して、第三債務者Cに対し債権者代位訴訟を提起した。 訴訟1という。
 訴訟1では、債務者Bの第三債務者に対する債権(乙債権)は不存在であると判断された。
(2)訴訟1は確定した。
(3)その後、債務者Bは、第三債務者Cに対し、債務者Bの第三債務者に対する債権(乙債権)を直接請求する訴訟を提起した。これが訴訟2である。
 2 問題
(1)訴訟1の既判力は、債務者Bに及ぶか。
(2)債務者Bが訴訟1の係属について知らなかった場合にも、債権者代位訴訟の既判力が及ぶか。
(3)訴訟2にて、債権者の債務者に対する債権(被保全債権)である甲債権が不存在であると判断された場合にも債権者代位訴訟の既判力が及ぶか。
 1 債権者代位訴訟の既判力
(1)ACの債権者代位訴訟である訴訟1の既判力は、債務者Bに及ぶか。
(2)債権者代位は、第三者のための訴訟担当であるから、債権者に対する判決の効力は、勝訴敗訴に関わらず、債権者代位訴訟の当事者である債権者(115条1項1号)のみならず、当該債権の帰属者である債務者にも及ぶ(115条1項2号)。
(3)債権者代位訴訟の本判決の既判力は、勝訴敗訴に関わらず、他の債務者にも及ぶ。
(4)訴訟1の訴訟について、債権者代位訴訟の訴訟物は債務者に及び、かつ、訴訟1の訴訟物は、代位債権である「乙債権」であるから、乙債権が存在しない、という判断について、債務者であるBに及ぶのが原則である。
 2 債権者が債権者代位訴訟について不知であった場合
(1)しかし、債務者Bが訴訟1の係属について知らなかった場合にも、債権者代位訴訟の既判力が及ぶか。
(2)債権者代位訴訟は、第三者である債権者の訴訟の結果が、債務者に及んでしまい、債務者の手続保障を欠くことになる。
(3)令和4年2月に民法423条の6が新設された。同条は、債務者の手続保障のため、債権者は債務者に訴訟告知しなければならない、とする。
 民法423条の6は、債務者に対し手続保障の機会を与えるものであるから、同通知を欠く場合には債務者に債権者代位訴訟の効力は及ばないと解してよい。
 4 あてはめ
(1)債務者Bが債権者代位訴訟を知らなかったのは、訴訟告知を欠いていたものと思われる、第1訴訟の効力は債務者Bに及ばない。
(2)訴訟2において、裁判所が乙債権は存在すると判断した場合、請求認容判決をすべきである。
 5 被保全債権が不存在であった場合
(1)訴訟2にて、債権者の債務者に対する債権(被保全債権)である甲債権が不存在であると判断された場合にも債権者代位訴訟の既判力が及ぶか。
(2)債権者代位訴訟で請求棄却判決が出て確定した後も、債務者は債権者代位訴訟の当事者適格の不存在(被保全債権と無資力)を立証すれば、「他人のために」(民事訴訟法115条1項2号)という要件を欠くために、債権者代位訴訟の判決の効力を否定できるという考え方も存在した
(3)しかし、令和4年2月に民法423条の6が新設された。同条は、債務者の手続保障のため、債権者は債務者に訴訟告知しなければならない、とされた。
(4)したがって、訴訟告知をされた後に、債務者が自己の判断で訴訟に参加しなかった場合に、上記と同様の考え方を正当化することはできない。したがって、「裁判所が乙債権は存在すると判断した事実」は結論に影響を与えない。
 6 あてはめ
(1)債務者Bが債権者代位訴訟を知らなかったのは、訴訟告知を欠いていたものと思われる、第1訴訟の効力は債務者Bに及ばない。
(2)訴訟2において、裁判所が乙債権は存在すると判断した場合、請求認容判決をすべきである。(令和4年2月以降の民法改正法を前提に回答を作成した。)

設問2
第4
1 問題
 AとCの債権者代位訴訟について、Bの他の債権者であるDはどのように参加できるか。
2 別訴提起
 別の債権者が債権者代位訴訟を提起した後に、他の債権者が同一の債権を被代位債権として債権者代位訴訟を提起することは二重起訴として許されない(民事訴訟法142条) 。
3 共同訴訟参加
(1)他の債権者Dは、別の債権者Aが提起した債権者代位訴訟に対し共同訴訟参加できる(民事訴訟法52条)。
(2)実体上の規定なり解釈によって訴訟上の判決の効力が当事者以外に拡張されている場合には、共同訴訟参加が認められている(民事訴訟法52条)。
(3)債権者代位は、法定訴訟担当であるから、債権者に対する判決の効力は、勝訴敗訴に関わらず、債権者代位訴訟の当事者である債権者(115条1項1号)のみならず、当該債権の帰属者である債務者にも及ぶ(115条1項2号)。
 したがって、債務者に既判力が及ぶことを通じて、別の債権者の債権者代位訴訟の判決は、他の債権者にも同判決の効力が及ぶ。
(4)他の債権者Dは、別の債権者Aが提起した債権者代位訴訟に対し共同訴訟参加できる。
 以上



弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

相続や遺産分割、借金問題、既婚者との男女トラブルなど、日常の不測の事態に直面した皆様の心理的なご負担を少しでも和らげ、円満な解決を導くためのサポートを徹底して行っています。どんな小さなお悩みでも、まずは当事務所の事務スタッフがLINEのチャットにて丁寧にお話をお伺いいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

「民事訴訟」トップに戻る

Contact.お問い合わせ

ご質問・ご相談などお気軽に
お問い合わせください。