Q 平成30年度の予備試験の解答を教えて下さい。
2026/08/12 更新
設問1
第1
1 問題
(1) Xは、Zに対し有権代理もしくは表見代理に基づく売買代金の請求を検討する。
(2) Xは、Yに対し無権代理人の責任を追及する。
2 主観的予備的請求
(1)無権代理人の責任は、代理権の証明ができた場合には成立しない(民法117条)。これらの請求は、法律上は両立しない。
(2)主観的予備的請求は、数人に対する請求が両立しえない関係にあって、主位的被告の請求が認められないことを解除条件として、予備的被告の請求について審理を求める訴訟の併合が考えられる。
3 最判昭和42年判決
(1)最判昭和42年3月8日民集22巻3号551頁は、これを違法とする。
(2)予備的被告は、主位的被告の請求が認められない場合に備えて応訴させられるが、主位的被告の請求が認容されると、請求棄却とされることなく、消滅させられてしまうので、不安定な地位に立たされる。
(3)主観的予備的併合訴訟も通常共同訴訟であるから、上訴の提起や、訴訟の中断、中止があった場合には、統一的な解釈ができなくなるからである。
4 同時審判申出共同訴訟
(1)Xは同時審判申出共同訴訟を提起することが考えられる。
(2)前述したように、共同被告に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ないので、同時審判の申出ができる(民事訴訟法41条1項)。
(3)同申出がされると、弁論は分離されなくなる。
(4)なお、同時審判の申出がある共同訴訟では、解除条件として考えないので、共同被告の一方に対する請求が認められれば、他方に対する請求について棄却されることになる。
第2 設問2
1 問題
(1) Xは、Yに対し、XとYの間で売買契約が成立したとして代金請求訴訟をする。
(2) XはZに対し訴訟告知をすることが考えられる(民事訴訟法53条1項)。
(3)XとYの間で売買契約が成立しないとされて、Yが敗訴した場合に、Zに参加的効力を及ぼすことができるか。
2 参加的効力の要件
(1)訴訟告知は、「訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすること」である(民事訴訟法53条1項)。訴訟告知には参加的効力が認められる(民事訴訟法53条4項)。
(2)訴訟告知の参加的効力の本質は敗訴責任の分担である。被告者が積極的に協力して応訴すべきであるのに参加せず、被告知者が敗訴した場合、被告知者の判決主文又はこれを導く請求原因の判断について、被告知者に参加手効力が及ぶ。
3 あてはめ
(1)訴訟物は、XとYの間で売買契約が成立したとして代金請求権である。したがって、XとYの間で売買契約が成立すること、もしくはしなかったことは、主張事実であり、重要な争点である。
(2)しかし、Zからすれば、XとYの間で売買契約が成立しなかったからとって、XとZの契約が成立するわけではないから、積極的に協力する立場にはない。
(3)したがって、Zに対し、「XとYの間で売買契約が成立しなかった」ことについて参加的効力を及ぼすことはできない。
第3 設問3
1 問題
(1) YとZに対する訴訟を併合した場合に、後に裁判所が弁論を分離しようとした。
(2)裁判所が弁論を分離するかは裁量である(民事訴訟法152条)。
(3)Xとしては、分離が不当であるとどのような主張が可能か。
2 Xとしての主張
(1)まず、XはYもしくはZに本件絵画を売却しており、どちらから代金を支払ってもらえる立場にある。しかし、弁論を分離されると、Xとの訴訟でYが買主であると、Yとの訴訟でXが買主である、両方で負ける可能性がある。
(2)両請求でXが負けることは、実質的に両裁判が矛盾することになる。
(3)両請求については、XはYもしくはZに本件絵画を売却したという社会的事実は同一であるから、併合した方が紛争の一回的解決となる。
(4)よって、弁論の分離は著しく不合理であるから違法である。
以上




