Q 平成30年度の司法試験の解答を教えて下さい。
2026/08/12 更新
設問1の課題1
第1 Bを被告とする訴え
1 問題
(1) Bは、Aに対し、債務は150万円を超えないことの債務不存在の確認の訴えを乙地裁に提起した。・・・①
(2) AはBに対し、乙地裁に、400万円を支払えとの損害賠償請求ができるか。・・・②
2 訴えの利益と二重起訴
(1)①と②の訴訟は、訴訟物が同じで、二重起訴とならないか(民事訴訟142条)。
①と②の訴訟は、150万円から400万円の範囲で訴訟物が重なる。
(2)したがって、矛盾回避のために、弁論の併合(民事訴訟法152条)を求めるか、反訴(民事訴訟法146条)で提起することが考えられる。
(3)②の訴訟で、50万円だと認定されても、①の訴訟物の範囲に収まらない。しかし、この場合①の訴訟で、150万円を超えて債務のないことの確認をする訴えの実益はない。
また、②の訴訟で、200万円だと認定されても、①の訴訟で200万円を支払えという判決があれば、①の訴訟で、200万円を超えて債務のないことの確認をする訴えの実益はない。
したがって、①の訴訟の債務不存在の訴えは訴えの利益が無くなる。
(4)したがって、①の訴訟の訴えの利益が無くなることで、①と②の訴訟の訴訟物が重なるという、二重起訴の問題は解消される(民事訴訟142条)。
4 結論
したがって、AはBに対し、乙地裁に、②の訴訟を提起できる。
第2 Cを共同被告とする訴え
1 問題
(1) AはBに対し、乙地裁に、400万円を支払えとの損害賠償請求を提起した。・・・②
(2)AはCに対し、損害賠償の訴訟を提起することを検討している。・・・③
(3)③の訴訟と②の訴訟は同じ場所で起きた交通事故の訴えであるから、通常共同訴訟にあたるか。
2 通常共同訴訟
(1)通常共同訴訟の要件は、「権利・義務が共通している場合や、同一の事実・法律上の原因に基づいている」場合に成立する(民事訴訟法38条)。
(2)③の訴訟と②の訴訟は同じ場所で起きた交通事故の訴えであるから、同一の事実に基づく通常共同訴訟である(民事訴訟法38条)。
(3)通常訴訟においては、併合管轄が生じる(民事訴訟法7条)。
3 結論
よって、Aは、乙地裁に、通常共同訴訟としてBとCを共同被告として訴訟提起できる。
設問1の課題2
第1 甲地裁への提起
1 事実
(1)Bは、Aに対し、債務は150万円を超えないことの債務不存在の確認の訴えを乙地裁に提起した。・・・①
(2)AはBCに対し、乙地裁に、400万円を支払えと通常共同訴訟を提起した。
(3)上記の通常訴訟のうち、AはBに対し、甲地裁に、400万円を支払えと訴訟提起していることになる。・・・②
2 問題
(1)①と②の訴訟物は訴訟物が同じで、二重起訴となる(民事訴訟142条)。
(2)加えて、①と②の訴訟は別々の裁判所に係属している。
3 別訴提起の場合の訴えの利益
(1)別訴提起された場合の①の訴えの債務不存在の訴えの利益については、訴訟が進行している場合には、単純にその訴訟の訴えの利益がないとしてしまうと、今までの訴訟が無駄になる。
(3)しかし、本件では、訴訟が送達されただけの段階であるから、①の訴えの利益がないとしてよい。
(4)したがって、①の訴えの利益が無くなることで、①と②の訴訟の訴訟物が重なるという、二重起訴の問題は解消される(民事訴訟142条)。
(5)よって、(2)AはBCに対し、乙地裁に、400万円を支払えと通常共同訴訟を提起できる。
設問3
第4
1 問題
(1)Bは、D病院に対し診療記録が4号文書にあたるとして文書提出命令を申し立てる。
(2)これに対して、Dから「医師が職務上知った事実」(民事訴訟法220条4号ハ、民事訴訟法197条1項2号)にあたることから、文書提出命令は認められない、という反論が考えられる。
2 4号文書と「医師が職務上知った事実」
(1)4号文書は、民事訴訟法220条4号が定める除外事由がない限り、文書の提出義務 を負うという一般的な提出義務が認められている。
(2)しかし、「医師が職務上知った事実」(民事訴訟法220条4号ハ、民事訴訟法197条1項2号)にあれば、文書提出命令は認められない。
(3)「医師が職務上知った事実」(民事訴訟法220条4号ハ、民事訴訟法197条1項2号)とは、その事項が公表されると、当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいう。
(4)病院は医療機関であるから患者との間で守秘義務を負う。しかし、当該情報について、当該患者が訴訟当事者として裁判手続上に開示義務を負う場合には、病院が「医師が職務上知った事実」として保護に値する独自の利益を有する場合は別として、その情報は、「医師が職務上知った事実」にあたらない。
(5)本件の診断書には、患者Aの診断結果が記載されており、病院Dは特別な利益を有しない。
(6)では、患者Aは、本件訴訟で開示義務を負うのか。
3 4号文書と「自己利用文書」
(1)患者Aに対し文書提出命令を申し立てた場合には、本件診断書が自己利用文書にあたると主張することが考えられる。
(2)民事訴訟法220条4号ニの「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(自己利用文書)にあれば、自己利用文書にあたれば、文書提出命令は認められない。
(3)しかし、本件では、Aは交通事故にあい、診断書を損害の立証として本件診断を証拠として提出することを予定していたであろうから、外部に提出することを予定していた文書で、内容も、従前提出されれている診断書と大きく変わらず、これを超えてプライバシー侵害も生じず、特段の事情もないから自己利用文書にあたらない。
(4)患者Aに対し文書提出命令を申し立てた場合には、本件診断書について開示義務を負う。
よって、D病院も開示義務を負う。
設問3
第4
1 事案
(1)AのBに対する請求は250万円で認容された。
(2)AのCに対する請求は棄却された。
(3)BはAとCの訴訟にAのために補助参加した。
2 問題
(1) Bは、控訴審から補助参加できるか。
3 控訴審からの補助参加
(1)参加的効力の本質は敗訴責任の分配である。
(2)控訴審で参加しても、控訴審で補助参加人として訴訟活動ができ、敗訴責任を問う土俵は存在する。
(3)Bは、控訴審から補助参加できる。
(4)Bは、補助参加人として上訴もでき(民事訴訟法45条1項)、控訴審で補助参加人の活動ができる。
第5
1 問題
(1)BはAとCの訴訟にAのために補助参加した。
(2)しかし、Bに補助参加の利益があるか。
2 補助参加の定義・趣旨
(1)補助参加するには、「訴訟の結果について利害関係を有する」(補助参加の利益)を有しているこが必要です(民事訴訟法42条)。
(2)補助参加の本質は敗訴責任の分担である。参加者が参加して応訴したが、被参加人が敗訴した場合、被参加者の判決主文又はこれを導く請求原因により、参加人の権利が害されるか場合に補助参加の利益が認められる。
3 補助参加の利益
「訴訟の結果について利害関係を有する」は、① 補助参加人の法律上の地位(法律上の利害関係)、②訴訟の結果、③②によって③がどのような影響を受けるかを考慮して判断します。。
4 あてはめ
(1)AのCに対する訴訟は、Cの過失がないとして、損害賠償請求が棄却された。
(2)Cの過失がないというのは、上記の損害賠償請求権の請求原因の判断であり、Cに過失がないとすれば、BはCに求償できなくなるので請求権を失う。
(3)以上より、②過失がないという判断によって、①②求償権を失うので、補助参加の利益を有する(民事訴訟法42条)。
しかし、Bは、ACの訴訟に補助参加することができる。
以上




