民事訴訟

Q 平成7年度の旧司法試験の第2問の解答を教えて下さい。

2026/08/16 更新

1 問題
(1)甲は、株式会社乙の登記簿上の代表者丙を被告として訴訟を提起した。
(2)丙は、乙の代表者としてこの訴訟の訴状の送達を受け取った。
(2)しかし、丙は、乙の真実の代表取締役は丁であると主張する。
2 送達
(1)仮に、乙の真実の代表取締役は丁である場合に、訴状を受け取ったのは丙であるから、乙はこの訴状を受け取っておらず送達は無効である。
(2)まずは、裁判所としては、丁に訴状を送達し、乙の真実の代表取締役は丁であるか確認すべきである。
(3)仮に、丙の主張が虚偽であれば、裁判所はそのまま訴訟を継続すればよい。
(4)また、訴訟に参加した丁が、丙の訴訟手続をそのまま利用するのであれば、裁判所は被告代表者の表示の訂正を行えば足りる。
3 表見法理の適用
(1)しかし、訴訟に参加した丁が、丙の訴訟手続をそのまま利用するのであれば、裁判所は被告代表者の表示の訂正を争う場合に、どのように考えるげきか。
(2)本件では、訴訟手続が進んでしまっている。実体法上、株式会社の乙の代表者は丙という登記がある以上は、丁は乙の代表者が丙であることを争えない(商法9条)。したがって、丁が、丙が行った訴訟手続と否定することはできないのではないか。
4 表見法理と訴訟行為
(1)しかし、上記の表見法理を認めてしまうと、本来の当事者の手続き保障を欠くことになる。判決の既判力の根拠は、当事者が事実関係を争う機会を得たことにあり、同結論は、手続き保障に欠く。
(2)そもそも、表見法理は実体法上の問題である。、第一審で争って、その結果、実体法上の効果として表見法律が適用されるのは理解できるが、そもそも争う機会そのものまで奪う理由にはならない。
(3)よって、訴訟に参加した丁が、丙の訴訟手続を否定する場合には、その部分について訴訟のやり直しをすることになる。
 以上

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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