民事訴訟

Q 重要な間接事実も弁論主義の対象となる、という見解について教えて下さい。

2026/09/04 更新

重要な間接事実も弁論主義の対象となるか

重要な間接事実も弁論主義の対象となる

(1)例えば、Aさんが金回りがよくかったという重要な間接事実について、当事者が主張していないのであれば、これを裁判所が認定することは、当事者にとって不意打ちとなるから、当事者が主張しない限り、これを認定することは許されない、という考え方があります。

 民事訴訟については紛争の長期化を避けるためには、争点をしぼることが有益です。つまり、当事者が主張しない事実について、「裁判所がその存在を認定しない。したがって、その存否は争点とならない。」という方法で、その存在について争点を減らすことが有益です。したがって、間接事実についても弁論主義が適用されることを認めるべきである、という考え方もあります。

実務の運用

(1)確かに、裁判所にっても、当事者の主張する事実や証拠を頼りに裁判を進めるしかありません。したがって、裁判所からしても、当事者が主張しない事実が真実であると考える状況はほとんどありません。

(3)実務においては、「間接事実について、弁論主義の対象となる。」のと同じ状態で審理が進められます。

通説の考え方

(1)もっとも、主要事実だけが弁論主義の対象となる、というのが判例・実務です。

(2)「弁論主義によって裁判所がある事実認定できない、もしくはある事実が存在する」と認定させられることは、「証拠に基づいて、裁判所が正しいと思える事実を認定することができなくなる」という危惧があり、主張事実に限定されるのが、通説です。(自由心証主義

実際の運用での工夫

(1)例えば、Aさんが金回りがよくかったという間接事実について、当事者が主張していないが、裁判所は、そのような事実を認定すべきと考えた場合に、裁判所はどのように考えるべきでしょうか。

(2)「Aさんが金回りがよかった。」という間接事実について争いがない状態で、裁判所がこれと違う認定をすることは不意打ちとなります。
 したがって、裁判所は、「この点は当事者は、主張していません。しかし、裁判所としては、△△の証拠からすれば、☓☓とのではないか、という疑問を持っています。当事者双方ともこの点について主張を補充する書面を出して下さい。」という形で、釈明されるのが通常です。

参考
 長谷部由起子ほか「基礎演習民事訴訟法 第3版補訂版」84頁以下 

 勅使川原和彦「読解 民事訴訟法」8頁、9頁

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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