民事訴訟

Q 昭和51年度の旧司法試験の第2問の解答を教えて下さい。

2026/08/28 更新

第1
 1 問題
(1)乙が自己の所有権を主張するAの訴訟を提起した。その後、同じ土地の所有権について、甲が自己の所有権を主張するBの訴えを提起しようとしている。
(2)この訴えは、二重起訴にあらないか。
 2 二重起訴の訴え
(1)二重起訴の禁止は、既判力が衝突する二つの訴えについて、二重に審理をすることによる裁判所や当事者負担や、二つの請求の既判力が矛盾することによる混乱を回避することにある。
(2))①ある訴訟の係属中に、②当事者が同一で、③訴訟物が同じ訴えが、別訴や反訴で提起されることは認められない(民事訴訟法142条)。
 3 あてはめ
(1)本件では当事者は①とある訴訟の係属中に、②当事者が同一ですが、②訴訟物が同一であるか。
(2)A訴訟とBの訴えは訴訟物は異なるが、しかし、一つの不動産に完全な所有権が並存することはない(一物一権主義)から、前訴の訴訟物である「所有権」は、後訴の訴訟物である「所有権」と矛盾関係になるので、前訴の既判力は、後訴に及ぶ。
(3)よって、二重起訴にあたり、甲のBの訴えの別訴提起は許されない。

第2
 1 問題
(1)乙が自己の所有権を主張するAを提起した。その後、同じ土地の所有権について、甲が自己の所有権を主張するBの訴えを反訴しようとしている。
(2)この訴えは、二重起訴にあらないか。
 2 二重起訴
(1)二重起訴の禁止は、既判力が衝突する二つの訴えについて、二重に審理をすることによる裁判所や当事者負担や、二つの請求の既判力が矛盾することによる混乱を回避することにある。
(2)反訴提起されたとしても、分離(民事訴訟法152条)の可能性があることが、矛盾する可能性はある。
(3)もっとも、両方の訴えは同じ所有権の訴えであるし、争点は同一ですほか、乙の訴え(Aの訴え)が棄却となっても、甲の所有権(Bの訴え)について既判力が及ぶわけではないから、甲のBの訴えを認める必要性も高い。
 3 あてはめ
  よって、甲のBの訴えの反訴提起は許される。

第3
 1 問題
(1)A 訴訟は、甲の所有権の確認を求める訴えであるが、その請求は認容されて確定した。
(2)B の訴えは、同じ土地についての乙所有権確認の訴えである。
 2 既判力
(1)既判力は、主文に包括するものに限り生じる(114条1項)。
(2)訴訟物は異なれば、既判力は作用しないのが原則であるが、前訴の訴訟物と後訴の訴訟物が先決関係もしくは、矛盾関係にある場合には規範力が及ぶ。
(3)A訴訟とBの訴えは訴訟物は異なるが、しかし、一つの不動産に完全な所有権が並存することはない(一物一権主義)から、前訴の訴訟物である「所有権」は、後訴の訴訟物である「所有権」と矛盾関係になるので、前訴の既判力は、後訴に及ぶ。
 3 既判力の作用
(1)Bの訴えにおいて、乙は、土地について甲の所有権があることを争えない。
(2)Bの訴えについて、乙の所有権が認められないので請求棄却となる。
 以上

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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