Q 昭和55年度の旧司法試験の第2問の解答を教えて下さい。
2026/08/25 更新
第1
1 問題
(1)貸金請求訴訟において、「金銭を受け取った。」「贈与を受けた。」という主張は裁判上の自白となるか。
(2)裁判上の自白が成立すると、どのような効力が発生するか。
2 裁判上の自白
(1)裁判上の自白の成立要件は、①相手方の主張と一致すること、②口頭弁論または弁論準備手続における主張であること、③事実の主張であること、④自己に不利益な主張であることである。
(2)なお、ここでいう③事実は主要事実に限られる。間接事実や補助事実まで、当事者の主張に拘束されると、裁判所が自由に事実を認定することができなくなるからである(自由心証主義)。
3 主要事実
(1)主要事実は、実体法上の権利の発生、変更、消滅を発生させる、法律上の要件(要件事実)に該当する具体的な事実をいう。
(2)請求原因及抗弁がこれにあたる。
(3)抗弁とは、(ア)請求原因事実と両立し、(イ)が請求原因から生じる法 律効果を否定する効果を発生させる事実をいう。
4 裁判上の自白の効果
(1) 裁判上の自白が成立すると以下の効果を持つ。
(2)裁判所は、裁判上の自白について証明がなくても事実だと認定できる(証明不要効)(民事訴訟法179条)。
(3)裁判所は、裁判上の自白と異なる事実を認定できなくなる(審判排除効)。
(4)当事者は、裁判上の自白と異なる事実を主張ができなくなる(不可撤回効力)。
5 貸金請求訴訟と請求原因
消費貸借に基づく貸金返還請求の請求原因は、消費貸借の合意、現金の交付、返還期限の合意、返済日の到来である(民法587条)。
6 結論
(1)現金を受け取った、という主張は裁判上の自白が成立する。
(2)それは贈与だったという主張は、消費貸借の合意と矛盾するので抗弁ではなく否認である。
第2
1 問題
(1)貸金請求訴訟において、「金銭を受け取った。」「弁済した。」という主張は裁判上の自白となるか。
2 貸金請求訴訟と請求原因と抗弁
(1)消費貸借に基づく貸金返還請求の請求原因は、消費貸借の合意、現金の交付、返還期限の合意、返済日の到来である(民法587条)。
(2)弁済したという主張は、請求原因と両立するが、同請求権の効果を消滅させるので抗弁である。
6 結論
(1)現金を受け取った、という主張は裁判上の自白が成立する。
(2)弁済したという主張は、抗弁である。
第3
1 問題
(1)借用書に署名したことを認める主張は裁判上の自白となるか。
2 補助事実の自白
(1)署名したは、文書の真正を認める事実である(民事訴訟法228条)。
(2)証拠の信用性に関する事実であるから、補助事実の自白である。
3 補助事実の自白の効果
(1)主要事実の以外の事実の自白(補助事実の自白)にも、裁判所は、裁判上の自白について証明がなくても事実だと認定できる(証明不要効)(民事訴訟法179条)。
(2)これに対して、審判排除効力は発生しない。
(3)また、不可撤回効力も発生しない。
以上




