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予防法務

判例(同性から告白された学生が、同級生9名が登録したラインで、おまえがゲイであるとことを隠しておけない、と送り、第三者に性的少数者であることを広めた(アウンティングした)。これによって、アウンティングされた被害者に対が自殺したが、大学院(ロースクール)の対応は適切だったとされた。)

2026/06/21 更新

東京高判令和2年11月25日

1 概要

(1)同性から告白された学生が、同級生9名が登録したラインで、おまえがゲイであるとことを隠しておけない、と送り、第三者に性的少数者であることを広めた(アウンティングした)。これによって、アウンティングされた被害者に対が自殺した。

(2)遺族が大学院(ロースクール)には安全配慮義務違反があると主張して慰謝料請求を行った。

(3)判決としてぇあ、大学院(ロースクール)として適切な対応をとっていた、と判断された。

2 判決の意義

(1)判決は、学生間で、第三者に性的少数者であることを広めた(アウンティング)が発生した場合、これを知った大学(大学院)には適切な対応する安全配慮義務があることを認めました。

(2)判決で認定された大学院の対応を見てみると、確かに、その義務を履行しているという判断には納得できると思われます。

(3)本判決で、大学院の対応については、同種の事案が起きた場合に、どのように対応するかを参考になるものがあります。

3 時系列

(1)平成27年4月3日、同性である被害者から告白された学生(以下、加害者という。)が、同級生9名が登録したラインで、おまえがゲイであるとことを隠しておけない、と送り、第三者に性的少数者であることを広めた(アウンティングした)。

(2)平成27年7月23日、被害者は、アウンティングについて大学院の教授に相談し、教授が被害者と面談している。

 同教授は、アウンティングが良くないことであったこと、被害者と加害者が一緒に授業を受けないためにクラス替えをすることは可能であること、ハラスメントの申告制度があることを説明した。

(3)平成27年7月24日、同教授は、複数の職員等に集まってもらい、相談内容を報告し、被害者と加害者の動向に注意を払うように求めた。

(4)平成27年7月26日、被害者は同教授に対し、「他の人にも本件アウンティングの問題を知ってもらいたい。」等のメールをしたところ、同教授は「他の人に明らかにしても問題の解決とならない。」「加害学生がアウンティングした理由についても、告白されたことの戸惑い不安が原因かもしれない。」「あなた(被害者)の苦しみを見ています。自分を大切にしてほしい。」とメールを送っている。

(5)平成27年7月27日、被害者は、アウンティングについてハラスメント申告を行った。

(6)平成27年8月7日、同教授は加害者と面談した。加害者は、被害者からしつこくされて、周りに相談することもできずに、アウンティングするしかないと追い詰められたと説明した。

(7)平成27年8月11日、二人の同級生2名が同教授に対し、「加害者が被害者に謝った方がよいのではないか。」と相談した。同教授は、「加害者がこころから謝罪しないと逆効果であるし、二人が落ち着いてからの方がよいのではないか。」と意見を伝えて、二人の同級生もその意見に賛成した。

 なお、この内容を同教授は、大学院の学長や職員にメールして共有している。

(8)平成27年8月5日、相談員が被害者の話を聞いて、専門のクリニックを紹介した。

(9)平成27年8月24日当時、被害者は心療内科に通院していた。

(10)平成27年8月24日、被害者は自殺した。

4 大学院の対応

(1)医療機関への受診につなげてています。複数の職員等に集まってもらい、相談内容を報告し、被害者と加害者の動向に注意を払うように求めています。

(2)被害者の話をしっかりと聞き、加害者にも、話を聞いて調査を行っています。

(3)被害者と加害者が一緒に授業を受けないためのクラス替えについては、「前例のないクラス替えをすれば本件について知る学生が増えるかもしんれない。」「そのことを考えてクラス替えを希望するか考えてほしい。」と、被害者に選択権を与えていた。

(4)加害者による被害者への謝罪についても検討がされており、加害者の要求を加害者自身が冷静に考えをまとめきれていない段階であって、加害者及び被害者が冷静になってから謝罪をするように指導するか検討する予定であった。

(5)被害者と加害者が一緒に授業を受ける模擬裁判の授業についても、既にスケジュールが決まっていたこと、被害者から加害者と対面しないで授業を受ける措置の要望が出ていなかったこと、被害者から精神的落ち着きを取り戻したかのようなメールが送らて来たことも考慮すると、レポート提出で足りる等の対策をしなかったことも違法ではないとされました。

平成31年2月27日 東京地判

令和2年11月25日 東京高判

参考

 ビジネスガイド2023年11月50頁以下

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