判例(性同一障害である男性がタクシードライバーとして勤務中に化粧をしていることについてクレームがあったが、同人に化粧をしないように要請し乗車を拒否したことが違法である。)
2026/10/21 更新
大阪地決令和2年7月20日 判例タイムズ1481号168頁
(1)一般論として、タクシードライバーの男性社員に対し、口紅を塗る等の化粧をしてはならないと命じることは違法ではない。
(2)しかし、性同一障害であると医師が診察し、性自認が女性である男性ドライバーに対し、化粧をしていることを理由に乗車を拒否することは、必要性と合理性が必要となる。
(3)一部の人が男性社員の化粧について違和感を感じたとしても、化粧による売り上げ等の減少が生じない以上は、化粧をしていることを理由に乗車を拒否することは違法である。
解説
1 サービス業と服装の自由
(1)服装の自由や化粧の自由は憲法13条の自己決定権として保障される。
(2) もっとも、男性社員に対し、口紅を塗る等の化粧をすることについて違和感を感じる顧客がいることを考えるとサービス業として、男性社員に対し口紅を塗る等の化粧をすることを禁じることは違法ではない、とされた。
(3)しかし、性同一障害であると医師が診察し、性自認が女性である男性ドライバーに対し、化粧をしていることを理由に乗車を拒否することは、必要性と合理性が必要となる。
(3)一部の人が男性社員の化粧について違和感を感じたとしても、化粧による売り上げ等の減少が生じない以上は、化粧をしていることを理由に乗車を拒否することは違法である。
2 クレーム
(1)もっとも、問題の発端は、違和感を感じた顧客がクレームを入れたことが原因である。
(2)企業としても、クレーム対応で時間を取られることがあれば、化粧を禁じたくなることは理解できる問題である。
(3)もっとも、性自認の問題はセンシティブな問題であり、最大限保障される権利であるから、化粧による売り上げ等の減少が生じない以上は、化粧をしていることを理由に乗車を拒否することは違法であるとされた判例です。
参考
ビジネスガイド2026年11月号94頁
「自由と正義」2026年10月号42頁




