民事訴訟

Q 争わなかった事実はどうなるのか。第一審で争わなかった事実について控訴審で争えるのか。

2026/10/18 更新

認否と争わなかった事実

(1)当事者が以下のいずれもしなかった事実は「沈黙」したとされて、弁論の全趣旨により争ったと認定されない限り、その事実を自白したものとみなされる(民事訴訟法159条)。
(2)なお、沈黙のほかに、認否としては、「自白」「否認」「不知」がありえる。 

参考
 司法研修所編「改定 新問題研究 要件事実」13頁

民事訴訟法158条 (訴状等の陳述の擬制)
 原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。

民事訴訟法159条 (自白の擬制)
1項 当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。

 (2項 省略)。

3項 第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。


第一回期日の欠席

(1)裁判では、第一回期日に答弁書を出さなければ被告(訴えを提起された側)が負けるというルールがあります。訴状が被告に送達されて第一回期日が開かれました。しかし、被告は第一回期日に欠席し、答弁書を出しませんでした。
(2)この場合、裁判所は、被告が答弁書を提出する機会(反論する機会)を放棄したとして、被告が自白したものとみなします(民事訴訟法159条3項)。
(3)この場合、原告は証拠によって立証をすることも不要です。したがって、原告は証拠を提出する義務がありません。
(4)なお、実務的には、「被告の様子を見てみたい。」「もう少し主張を追加してほしい。」という場合には、第1回期日で終わらずに、第2回期日が開かれることもあります。

公示送達の場合
(1)もっとも、公示送達の場合には、実際には、被告に訴状等を送達しておりません。
公示送達の場合には、被告が行方不明であることから、裁判所に書類を貼り出すことで、法律上は書類を送ったと扱う制度です。
(2)公示送達の場合には、被告は第一回期日を欠席することが多いでしょう。
(3)公示送達の場合には、原告は証拠を提出する必要があります。
 裁判所は証拠を見て、原告の請求が認められるかどうか、確認してから判決を下すことになります。


争わなかった事実について控訴審で争えるのか。

1 争わなかった事実
(1)第一審で争わなっために、争わなかった事実として認定された。
 争わなかった事実は自白したと擬制される(民事訴訟法159条)。
(2)しかし、控訴審は続審であるから、第一審を通じて一体で審理しているから、第一審と同じくこれを争うことができるべきである。
3 結論
(1)第一審で争わなかった事実を控訴審で争うことができる。
(2)もっとも、同主張が時期に遅れた攻撃防御方法として却下されるか(民事訴訟法157条)は別に問題となる。

参考
 藤田広美「解析 民事訴訟 第2版」514頁
 

弁護士 井上正人
 この記事の著者・監修 弁護士 井上 正人(いのうえ まさと) 大阪弁護士会所属(登録番号:43449) /
弁護士法人夕陽ヶ丘法律事務所 代表

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