判例(債務不履行に基づく損害賠償請求権の過失相殺(民法418条)について、裁判所は、当事者が過失相殺を主張してなくても、過失相殺を認定できる。しかし、過失相殺を基礎づける事実の主張がなければ、裁判所は過失相殺を認定できない。)
2026/10/26 更新
最判昭和43年12月24日(民集22巻13号3454頁)
債務不履行に基づく損害賠償請求権の過失相殺(民法418条)について、裁判所は、当事者が過失相殺を主張してなくても、過失相殺を認定できる。しかし、過失相殺を基礎づける事実の主張がなければ、裁判所は過失相殺を認定できない。
解説
1 判例
(1)民法722条の過失相殺の「過失」は法的評価である。これを基礎づける具体的事実が主要事実である。
(2)過失相殺の適用されるという主張がなくても、過失相殺を認定できる。しかし、過失相殺を基礎づける事実の主張がないのに、裁判所は過失相殺を認めることは弁論主義違反である、という考え方があります。
(3)判例(最判昭和43年12月24日(民集22巻13号3454頁))は、債務不履行に基づく損害賠償請求権の過失相殺(民法418条)について、裁判所は、当事者が過失相殺を主張してなくても、過失相殺を認定できる。しかし、過失相殺を基礎づける事実の主張がなければ、裁判所は過失相殺を認定できない。)としました。
(4)なお、不法行為の過失相殺(民法722条)について判例は明言していません。
参考
民事訴訟法判例百選(第6版)243頁)。
2 実務的な問題意識
(1)実務的には、交通事故と後遺症との論理的な因果関係が不明な場合(交通事故によって後遺症が発生したとは認定できないが、その可能性は否定できないために、公平の観点で損害を調整すべき場合)には、慰謝料等の増額によって裁量的な調整を図り妥当な結論を出す工夫がされている。
(2)過失相殺についても、損害の調整的な要素があり、当事者の具体的な事実の主張がなくても過失相殺をみとめてよいのではないか、という発想があります(藤田広美「解析 民事訴訟 第2版」409)。
(3)したがって、当事者が過失を基礎づける事実の主張をしていなくても、裁判所が真実である(妥当)と考える判断をしてよいのではないか、考え方が根底にあります。
| 旧司法試験の平成11年の第2問、平成21年の第1問で、過失相殺について出題されている。 司法試験・予備試験では、実務的な視点での深い分析力を問う問題が出題されており、注意が必要です。 |




