Q 平成30年度の司法試験の解答を教えて下さい。
2026/10/20 更新
設問1の課題1
第1 Bを被告とする訴え
1 問題
(1) BはAに対し、債務は150万円を超えないことの債務不存在の確認の訴えを乙地裁に提起した。・・・①
(2) AはBに対し、乙地裁に400万円を支払えとの損害賠償請求ができるか。・・・②
2 訴えの利益と二重起訴
(1)①と②の訴訟は、訴訟物が同じで二重起訴とならないか(民事訴訟法142条)。
①と②の訴訟は、150万円から400万円の範囲で訴訟物が重なる。
(2)支払いを求める給付請求が債権の存否だけを確認する確認の訴訟よりも紛争解決には適切であり、債務不存在の訴えについて、給付訴訟の反訴が提起された場合には、債務不存在の訴えについて訴えのが消滅する。
(3)本件について同じく考えた場合、裁判所が損害を500万円だと認定しても、②の訴えは400万円の支払いとなるところ、黙示的一部請求であるから、残部請求については既判力が及ぶため、①の訴えを残す意味はない。
本件で、裁判所が損害を300万円だと認定しても、②の訴えは300円の支払いとなるところ、残部請求について認められなかったことについて既判力が及ぶため、①の訴えを残す意味はない。
本件で、裁判所が損害を100万円だと認定しても、①の訴えは訴訟物の範囲外となるために既判力が及ばない。①の訴えを残す意味はない。
(4)②の債務不存在の訴えについては、訴状が送達された段階であり、その訴訟活動の結果を残す事情もないので、その意味でも訴えの利益はない。
したがって、二重起訴は解消される(民事訴訟法142条)。
4 結論
(1)したがって、AはBに対し、乙地裁に、②の訴訟を提起できる。
(2)なお、本件で、①の訴えについて、訴えの利益が消滅しないと考える場合には、同一裁判所で行われているために、弁論を併合(民事訴訟法152条)するか、反訴すれば(民事訴訟法146条)すれば両訴訟の判断は矛盾しないために例外的に二重起訴に当たらないために、AはBに対し、乙地裁に、②の訴訟を提起できる、という考え方もありえる。
第2 Cを共同被告とする訴え
1 概要
(1) AはBに対し、乙地裁に、400万円を支払えとの損害賠償請求を提起した。・・・②
(2)AはCに対し、損害賠償の訴訟を提起することを検討している。・・・③
(3)③の訴訟と②の訴訟は同じ場所で起きた交通事故の訴えであるから、通常共同訴訟にあたる。
2 通常共同訴訟
(1)通常共同訴訟の要件は、「権利・義務が共通している場合や、同一の事実・法律上の原因に基づいている」場合に成立する(民事訴訟法38条)。
(2)③の訴訟と②の訴訟は同じ場所で起きた交通事故の訴えであるから、同一の事実に基づく通常共同訴訟である(民事訴訟法38条)。
(3)通常訴訟においては、併合管轄が生じる(民事訴訟法7条)。
3 結論
よって、Aは、乙地裁に、通常共同訴訟としてBとCを共同被告として訴訟提起できる。
設問1の課題2
第3 甲地裁への提起
1 事実
(1)Bは、Aに対し、債務は150万円を超えないことの債務不存在の確認の訴えを乙地裁に提起した。・・・①
(2)AはBCに対し、甲地裁に、400万円を支払えと訴訟提起する。・・・③
2 問題
(1)①と③の訴訟物は訴訟物が同じで、二重起訴となる(民事訴訟142条)。
①と③の訴訟は、150万円から400万円の範囲で訴訟物が重なる。
(2)加えて、①と③の訴えについては、①の訴えの利益が無くなることで、①と②の訴訟の訴訟物が重なるという、二重起訴の問題は解消される(民事訴訟法142条)。
3 結論
(5)よって、AはBCに対し、甲地裁に、400万円を支払えと通常共同訴訟を提起できる。
設問2
第4
1 問題
(1)Bは、D病院に対し診療記録が4号文書にあたるとして文書提出命令を申し立てる。
(2)これに対して、Dから「医師が職務上知った事実」(民事訴訟法220条4号ハ、民事訴訟法197条1項2号)にあたることから、文書提出命令は認められない、という反論が考えられる。
2 4号文書と「医師が職務上知った事実」
(1)4号文書は、民事訴訟法220条4号が定める除外事由がない限り、文書の提出義務を負うという一般的な提出義務が認められている。
(2)しかし、「医師が職務上知った事実」(民事訴訟法220条4号ハ、民事訴訟法197条1項2号)にあれば、文書提出命令は認められない。
(3)診断記録は、医師が患者の治療内容や疾病を記録しており、「医師が職務上知った事実」(民事訴訟法220条4号ハ、民事訴訟法197条1項2号)にあたる。
(4)病院は医療機関であるから患者との間で守秘義務を負う。しかし、当該情報について、当該患者が訴訟当事者として裁判手続上に開示義務を負う場合には、病院が「医師が職務上知った事実」として保護に値する独自の利益を有する場合は別として、その情報は、「医師が職務上知った事実」にあたらない。
(5)本件の診断書には、患者Aの診断結果が記載されており、病院Dは特別な利益を有しない。
(6)では、患者Aは、本件訴訟で開示義務を負うのか。
3 4号文書と「自己利用文書」
(1)仮に、患者Aに対し文書提出命令を申し立てた場合には、本件診断書が自己利用文書にあたると主張することが考えられる。
(2)民事訴訟法220条4号ニの「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(自己利用文書)にあれば、自己利用文書にあたれば、文書提出命令は認められない。
4 4号文書と「自己利用文書」のあてはめ
(1)しかし、本件では、Aは交通事故にあい、診断書を損害の立証として本件診断を証拠として提出することを予定していたであろうから、外部に提出することを予定していた文書で、内容も、従前提出されれている診断書と大きく変わらず、これを超えてプライバシー侵害も生じず、特段の事情もないから自己利用文書にあたらない。
(2)患者Aに対し文書提出命令を申し立てた場合には、本件診断書について開示義務を負う。
よって、D病院も開示義務を負う。
設問3
第5
1 事案
(1)AのBに対する請求は250万円で認容された。
(2)AのBに対する請求は棄却する判決が出た。
(3)Cは第一審で補助参加していないにが、判決後に補助参加して上訴することを検討している。
2 問題
(1) 第一審では補助参加しておらず、第一審が判決が出た後に補助参加して上訴することもできるか。
3 補助参加人の独立性と従属性
(1)補助参加は他人の訴訟活動を助けて自己の権利を守る制度です。補助参加人には独立性と従属性がある。
(2)補助参加人は独立性として、上訴の提起、再審の訴えをすることができる(民事訴訟法45条1項)。
(3)しかし、補助参加人は従属性として、参加した時点で被参加人がすでに成しえない訴訟行為(民事訴訟法45条1項ただし書)や被参加人の訴訟行為と抵触する訴訟行為できない (民事訴訟法45条2項)。
4 補助参加人の上訴権
(1)もっとも、補助参加人は再訴の訴えもできるとされていることからすれば(民事訴訟法45条1項)、上訴することができる、という解釈が素直である。
(2)Cは第一審で補助参加していないにが、判決後に補助参加して上訴することができる。
第6
1 問題
(1)BはAとCの訴訟にAのために補助参加した。
(2)しかし、Bに補助参加の利益があるか。
2 補助参加の定義・趣旨
(1)補助参加するには、「訴訟の結果について利害関係を有する」(補助参加の利益)を有しているこが必要です(民事訴訟法42条)。
(2)補助参加の本質は敗訴責任の分担である。参加者が参加して応訴したが、被参加人が敗訴した場合、被参加者の判決主文又はこれを導く請求原因により、参加人の権利が害されるか場合に補助参加の利益が認められる。
3 補助参加の利益
「訴訟の結果について利害関係を有する」は、① 補助参加人の法律上の地位(法律上の利害関係)、②訴訟の結果、③②によって③がどのような影響を受けるかを考慮して判断します。。
4 あてはめ
(1)AのCに対する訴訟は、Cの過失がないとして、損害賠償請求が棄却された。
(2)Cの過失がないというのは、上記の損害賠償請求権の請求原因の判断であり、Cに過失がないとすれば、BはCに求償できなくなるので請求権を失う。
(3)以上より、②過失がないという判断によって、①②求償権を失うので、補助参加の利益を有する(民事訴訟法42条)。
しかし、Bは、ACの訴訟に補助参加することができる。
以上




