Q 平成17年度の旧司法試験の第2問の解答を教えて下さい。
2026/10/04 更新
第1
1 問題
(1)甲は乙に対して所有権に基づく明渡し訴訟を提起して、甲の請求を認容する判決が確定した。
(2)甲は乙に対し、再度、同じ訴訟をすることは訴えの利益が認められるか。
2 訴えの利益
(1)現在の給付の訴えは、給付を請求する地位にあるのに現に給付を受けていないと主張するものであるから訴えの利益が認められる。
(2)もっとも、既に、判決を得ている場合には、時効中断のため等の理由がない限り、訴えの利益が認められない。
3 あてはめ
本件では、甲は乙に対する確定判決を得ているために、時効中断のため等の理由がない限り、訴えの利益が認められない。
第2
1 問題
(1)甲は乙に対して甲の土地所有権に基づく明渡し訴訟を提起して、甲の請求を認容する判決が確定した。・・・①
(2)乙は甲に対して、同じ土地について乙の土地所有権に基づく明渡し訴訟を提起した。・・・・②
(3)①の判決の既判力は、②の訴訟にどのように及ぶか。
2 既判力
(1)既判力は、主文に包括するものに限り生じる(114条1項)。
(2)訴訟物は異なれば、既判力は作用しないのが原則であるが、前訴の訴訟物と後訴の訴訟物が先決関係もしくは、矛盾関係にある場合には規範力が及ぶ。
3 あてはめ
①と②の訴訟について、所有権の主体が違うので訴訟物は異なる。しかし、一つの不動産に完全な所有権が並存することはない(一物一権主義)から、前訴の訴訟物である「所有権」は、後訴の訴訟物である「所有権」と矛盾関係になるので、①の既判力は、②に及ぶ。
4 既判力の作用
(1)既判力の作用としては、後日の訴訟にて、当事者は前訴の訴訟物たる権利又は法律関係の存否について矛盾した主張ができない(消極的作用)。
(2)また、後日の訴訟にて、裁判所は前訴の訴訟物たる権利又は法律関係の存否について矛盾した判断ができません(積極的作用)。
(3)乙は、甲に対し甲の土地所有権を争えない。裁判所は、乙の請求を棄却すべきである。
第3
1 問題
(1)甲は乙に対して甲の土地所有権に基づく明渡し訴訟を提起して、敗訴し確定した。・・・①
(2)丙が乙からA土地の占有を譲り受けた。・・・・②
(3)丙は乙に対して甲の土地所有権に基づく明渡し訴訟を提起することは許されるか。乙は、①の訴訟の口頭弁論終結後の承継人(民事訴訟法115条1項3号)として①の訴訟の既判力が及ぶとして、丙の請求が棄却されると主張できないか。
2 口頭弁論終結後の承継人
(1)口頭弁論終結後に、その訴訟物である権利義務関係を引き継ぎ、完成した既判力を第三者が引き継いだ。
(2)その場合、今までの訴訟の結果を第三者に引き継がせなければ、再度訴訟をやり直す必要があり、原告にも裁判所にも過剰な負担となる。もっとも、第三者が訴訟結果を引き継ぐことになれば、その第三者の手続保障が問題となる。
(3)この点、実体法を適用した結果、 前訴の当事者の地位に依存する関係に立つ者は、前訴訟の紛争の影響を受けるべき者ではあるし、同当事者と別の立場で権利主張をできるわけではないから、前の訴訟結果に拘束されても手続保障を欠くことは少ない。
3 口頭弁論終結後の承継人の定義
(1)前訴の口頭弁論終結後に係争物の所有名義または占有を承継するなどした第三者は、紛争主体たる地位を取得した者、つまり、口頭弁論終結後の承継人(民事訴訟法115条1項3号)にあたる。
(2)しかし、民法94条2項の適用等の固有の攻撃防御方法をするものは、例外的に、口頭弁論終結後の承継人にあたらない。
4 あてはめ
(1)丙は乙よりA土地の占有を譲り受けており、口頭弁論終結後の承継人にあたるのが原則である。
(2)したがって、丙は、乙に対し甲の土地所有権を主張できない。しかし、丙は、甲から所有権を譲り受けたのではなく、民法94条2項により甲の土地所有権を主張したという、前主である丙とは別の立場で権利を得たという主張してこれが認められれば、口頭弁論終結後の承継人にはあたらない(実質説)。
(3)裁判所は、この点について審理を行うべきである。
以上




