Q 平成6年度の旧司法試験の第2問の解答を教えて下さい。
2026/09/23 更新
第1
1 問題
業務執行組合員乙は、甲組合の任意的訴訟担当として、甲組合に帰属する財産に関する訴訟の原告又は被告となることができるか。
2 民法上の組合の法的性質
(1)民法上、各当事者が、出資をして、共同の事業を営むことを約することによって、民法上の組合が成立する(民法667条1項)。
(2)民法上、組合財産は組合員の共有となる(民法668条)。
3 任意的訴訟担当
(1)任意的訴訟担当を広く認めると、第三者が他人の訴訟活動をすることができ、弁護士資格制度を骨抜きにしかねない。無資格者が訴訟活動を代行すれば、司法制度が混乱する。
(2)法律の定めのない任意的訴訟担当を認めるには、弁護士資格制度等を骨抜きにしないこと、法律の定めがないくても任意的訴訟担当とする合理的必要性が必要である。
4 あてはめ
(1)業務執行組合員乙が、通常業務において、自己の名で組合財産を管理し、対外的業務を遂行する権限を与えられている場合には、組合財産について任意訴訟担当(訴訟の当事者)となることができる。
(2)なぜなら、平常時において当事者として業務遂行をしていた者に対し、紛争時においても当事者として活動することを認めるものであり、事情を一番知る者としてこれを認める合理的必要性があり、かつ、その範囲でのみ認めるのであれば、全くの第三者が他人の訴訟活動をすることを認めるものではなく弁護士資格制度を骨抜きにする危険性もないからである。
4 代理権
(1)民法上の組合の財産は、構成員に合有的に帰属する。業務執行組合員が訴訟担当となる場合には、他人である構成員の権利義務について争うことになる。
(2)業務執行組合員が、任意訴訟担当(訴訟の当事者)となる場合には、訴訟の対象となる目的物を処分するのに必要とされる総会の議決等の手続による授権が必要となる。敗訴すれば、同処分を失うことになるからである。
5 あてはめ
(1)甲組合の組合規約では、業務執行組合員がその業務執行に必要な一切の裁判外及び裁判上の行為をすることができとされている。
(2)業務執行組合員乙は、甲組合の任意的訴訟担当として、甲組合に帰属する財産に関する訴訟の原告又は被告となることができる。
第2
1 問題
業務執行組合員乙が死亡したとき、訴訟の受継(民事訴訟法124条)ができるか。
2 当事者の死亡
(1)訴訟係属後に、訴訟代理人がいない場合には、当事者が死亡すると訴訟の受継(民事訴訟法124条)という制度がある。
(2)任意的訴訟担当は第三者の訴訟担当であるから「自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの死亡」(民事訴訟法124条1項5号)にあたるので、訴訟代理人がいない場合には訴訟は中断する。
甲組合は、新たな業務執行組合員を選任し、「同一の資格を有する者」(民事訴訟法124条1項5号)が受継の申立てをすることになる(民事訴訟法124条)。
(3)訴訟代理人がいる場合には、訴訟手続は中断しない(民事訴訟法124条2項)。
以上




