Q 時期に遅れた攻撃防御方法とは何ですか。
2026/10/04 更新
裁判の流れ
(1)民事裁判の期日は、原告と被告が交互に書面や証拠を出し合う期日を経て、尋問、その後に判決と進んで生きます。
(2)原告の弁護士、被告の弁護士は、双方が書面で反論し、これを裏付ける証拠を、期日まで提出に提出することで進んでいきます。
書面のやりとり
(1)書面をお互いに提出していくと、同じ主張の繰り返しなったり、(裁判所に認定してほしい、と思う)事実の主張がつきたりします。
(2)お互いの主張で言いたいことが無くなるまでは、数回の文書のやりとりが必要です。
(3)書面を出すには、依頼者とのアポ(一週間)、ヒアリングして書面作成(一週間)、依頼者に送ってチェックしてもらう(一週間)、微調整して提出する(一週間)だと考えれば、1ヶ月は必要です。
1回の期日は1ヶ月以上の間隔が必要となります。しかも、原告が書面を出して、被告が書面を出す、一往復には、2回の期日が必要で、現実的には3ヶ月以上の期間が必要となります。
(4)お互いに主張する書類や、提出する書類が無くなったと裁判所が判断して、尋問手続に移行するのが通常です。
時期に遅れた攻撃防御方法
(1)これらの期日を経て、争点整理が終わった後に、新たな主張(事実や、法的主張)や、新たな証拠が出てくることがあります。
この場合には、「時期に遅れた攻撃防御方法」が問題となります。
(2)「新たな主張(事実や、法的主張)や、新たな証拠」を認めると、反論、再反論が必要になり、3ヶ月から6ヶ月は裁判期間が伸びるからです。
| 民事訴訟法156条(攻撃防御方法の提出時期) 攻撃又は防御の方法は、訴訟の進行状況に応じ適切な時期に提出しなければならない。 民意訴訟法156条の2(審理の計画が定められている場合の攻撃防御方法の提出期間) 第147条の三第一項の審理の計画に従った訴訟手続の進行上必要があると認めるときは、裁判長は、当事者の意見を聴いて、特定の事項についての攻撃又は防御の方法を提出すべき期間を定めることができる。 民事訴訟法157条(時機に後れた攻撃防御方法の却下等) 1項 当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。 2項 攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。 民意訴訟法157条の2 (審理の計画が定められている場合の攻撃防御方法の却下) 第147条の3第3項又は第156条の2(第170条第5項において準用する場合を含む。)の規定により特定の事項についての攻撃又は防御の方法を提出すべき期間が定められている場合において、当事者がその期間の経過後に提出した攻撃又は防御の方法については、これにより審理の計画に従った訴訟手続の進行に著しい支障を生ずるおそれがあると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。ただし、その当事者がその期間内に当該攻撃又は防御の方法を提出することができなかったことについて相当の理由があることを疎明したときは、この限りでない。 |
争点整理手続後に提出された攻撃防御方法と、説明
準備的口頭弁論、弁論準備手続、書面による準備手続後に、新たな主張(事実や、法的主張)や、新たな証拠を提出するには、その理由を説明しなければならない。
| 民事訴訟法167条(準備的口頭弁論終了後の攻撃防御方法の提出) 準備的口頭弁論の終了後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、準備的口頭弁論の終了前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければならない。 民事訴訟法174条(弁論準備手続終結後の攻撃防御方法の提出) 第167条の規定は、弁論準備手続の終結後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者について準用する。 民事訴訟法178条(書面による準備手続終結後の攻撃防御方法の提出) 書面による準備手続を終結した事件について、口頭弁論の期日において、第176条第3項において準用する第165条第2項の書面に記載した事項の陳述がされ、又は前条の規定による確認がされた後に攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるときは、相手方に対し、その陳述又は確認前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければならない |
時期に遅れた攻撃防御方法
(1)時期に遅れた攻撃防御方法は、①時期に遅れていること、②故意、過失があること、③訴訟を遅延させること、④却下することが相当であることを満たす場合に、主張や証拠提出が不適法とされる。
(2)尋問手続後に、証拠を出せば、①時期に遅れたことになるであろう。
控訴審理の場合には、第一審の経過も含めて判断する。(岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 総論・民法1」138頁)
(3)相殺等については、追い込まれてからの主張であることや、判決後に請求異議等で争われる可能性があることも考慮すると、②故意過失を認定しにくい面がある。(小林秀之「新法学ライブラリ 10 民事訴訟法 第2版」134頁)
(4)追加の証拠調べを必要としない主張の追加や、直ちに取り調べられる書証の追加は、③訴訟を遅延させない。
認める方向で考えることなる。
(5)不十分なまま裁判をした場合に、裁判所の釈明義務違反(現在の主張や証拠で、妥当な結論を出せるか、)という観点が問題になる場合には、④却下を認めない方向で考えることになる。
参考
岡口基一「要件事実マニュアル(第7版)第1巻 総論・民法1」137頁




