判例(休職制度がなかったが、会社は3か月間を特別に休職期間としたが、従業員がうつ病となって就労できない状態であり、そのうつ病の発症について会社に安全配慮義務違反が認められる場合には、休職期間満了による退職処分は違法となる。)
2026/08/01 更新
事案の概要
平成28年4月 従業員が入社した。
平成29年4月 従業員はうつ病を発症し休職を開始した。(治療を開始したのは、平成29年7月以降である。)
平成29年7月 会社は従業員に対し休職期間満了により休職期間満了により自然退職とした。
令和4年9月 従業員が「うつ病の発症については会社に安全配慮義務違反がある。」「退職処分は無効である。」と主張し、訴えた。
裁判所の判断
(1)従業員のうつ病の発症については会社に安全配慮義務違反があるとした。
(2)その前提で、会社は3か月間を特別に休職期間としたが、従業員がうつ病となって就労できない状態であり、そのうつ病の発症について会社に安全配慮義務違反が認められる場合には、休職期間満了による退職処分は違法となるとした。
令和7年7月16日福岡地裁
判例タイムズ1545号159頁
解説
(1)休職期間満了を理由とする退職処分の本質は、実質的な解雇です。
(2)「従業員のうつ病の発症については会社に安全配慮義務違反がある。」という前提であれば、同退職処分は当然に無効になってしまいます。
(3)実務上は、従業員の病状が落ちついてから、会社として退職処分をするかどうか判断しなければならない、ということになります。
したがって、その判断のためには、会社は休業期間を再制定する等の工夫が必要です。




