判例(定年後の再雇用となった非正規社員に対し、経営環境の悪化を理由に、更新の条件として労働条件を下げるて提案をしたところ、非正規社員が拒否したために雇止めとなった。同雇止めは違法であるとされて、継続雇用制度の終了(満65歳)までの賃金請求が認められた。)(定年後の再雇用)
2026/07/26 更新
福岡地裁令和6年6月27日
1 事案
会社では、60歳の定年が定められていた。60歳以降については高年齢雇用安定法による継続雇用制度が設けられていた。
Xは定年退職前は無期雇用であったが、定年退職後に1年間の期限付き再雇用された。
2度目の更新時において、Yは業績悪化を理由に、賃金を20万円から12万円(従前より60%まで下げる)とする労働条件を提案した。Xはこれを拒否した。Yは、2度目の更新を行わずXを雇止めとした(再雇用しなかった)。
Xは、労働者の地位にあるとして訴訟提起した。
2 判決
(1)以下を理由として、経営環境の悪化があるとしても、賃金を20万円から12万円(従前より60%まで下げる)とする条件変更は違法であるとして、同賃金でなければ再雇用しないこと(雇止め)は違法であるとされて、継続雇用制度の終了(満65歳)までの賃金請求が認めた。
(2)本件では以下のような事情が存在した。
令和元年から同3年までの間に売上が50%以上減少した。
定年後再雇用であった別の社員Aも、Yから同様の提案をされて、契約更新をしなかったこと
Yが別の社員Bについては再雇用していること(なお、社員BはXらの代替要員だったと思われる。)
取締役報酬が増額されていること
Xの不利益が大きいこと(従前と比べて給与が60%となること)
福岡地裁令和6年6月27日
ビジネスガイド2026年8月号86頁
解説
定年後再雇用後の更新条件の引き下げ
(1)高齢者雇用安定法は、定年後も65歳までは、継続雇用する義務があると定めています。
(2)したがって、定年後再雇用後の更新条件の引下げは、労働条件の不利益変更と同様の利害関係となります。
(3)本件では、労働条件引下げの合理理由がないと判断されたと理解できます。
雇止め後の法律関係
(1)本件では、引き下げた条件でなければ再雇用しないこと(雇止め)は違法であるとされました。
(2)この場合には、継続雇用制度の終了(満65歳)までの賃金請求が認められることも明らかにしました。




