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夕陽ヶ丘法律事務所ブログ

2021/11/11

固定残業代

固定残業代

(1)固定残業代は雇用契約書に「月給は○○円、ただし、 10時間分の 時間外割増賃金 として、+3万円を支給する。」と記載する制度であります。
(2)例えば月30万円の固定給与支払っている従業員について、基本給20万円+固定残業代3万円と分けて支払う制度です。
(3)本来残業代は月5万円分の残業が発生すれば月5万円だけ、月7万円の残業が発生すれば月7万円だけ支払う必要があります。しかし、固定残業代は月10万円を固定で支払い、本来の残業代額が固定残業代を超えればこれを支払いますが、これを不足しても社員から返還を求めません。企業が社員に対し固定で支払う残業代であります。

固定残業代のメリット

(1)企業側としては残業代に関しトラブルになったとしても、固定残業代を超えた部分の残業代を支払えば足りるというメリットがあるほか、企業側としては社員が費やした時間(労働時間)に対して賃金を支払っているのではなく、社員の成果(仕事)に対して賃金を支払っているのであり、全て成果(仕事)の出来で判断するというメッセージを伝えるというメリットもあります。
(2)従業員側のメリットとしては、受け取る給与額が変動せずに安定する、というメリットがあります。

固定残業代のデメリット

固定残業代のデメリットは、残業代を支払わないための制度(社員を搾取するための制度)であるとのイメージが付きまとう点です。この点に関しては、企業は社員になぜ固定残業代を導入するのかしっかりと説明する義務があります。

固定残業代の形

(1)基本給組み込み型

 「月給30万円。その給与の中には、 10時間分の 時間外割増賃金 が含まれている。」とする形の固定残業代です。

  結論から言えば、基本給組み込み型の固定残業は無効です。
  理由は、「 10時間分の 時間外割増賃金 が含まれている。 」 と書かれているだけでは、10時間を超えた残業代が計算できないからです。

  残業代は、「時給(基本給から計算される時給)×時間外労働(時間)×割増率」等の方法で計算します。
  しかし、 「月給30万円。その給与の中には、 10時間分の時間外労働の割増賃金相当額 が含まれている。」と記載だけでは、(残業代を計算する上で基本となる)基本給と、(基本給から計算される)残業代の区別がつかないからです(判別可能性がない)。

(2)定額型

 「 固定残業代3万円(10時間分の 時間外割増賃金 )」と記載する形で支払われる残業代です。

 かつては、固定残業代が有効になるためには、①支給時に支給対象の時間外労働の時間数と残業手当の額が労働者に明確に示されていること、②固定残業代によってまかなわれる残業時間を超えて残業が行われた場合には清算する旨の合意が必要という見解もありました。 しかし、最判平成30年7月19日(判例タイムズ1459号30頁)によって、①②については否定されました。

 したがって、 「10時間分」と書かずに、 「 固定残業代3万円( 時間外割増賃金として支払う )」とだけ記載することも認められています。

 もちろん、残業代として支払うことが分かること、例えば、「 時間外割増賃金として支払う 」等の明記は必要です。

(3)休日手当型、業務量連動型の手当

 会社が残業代について、誤った計算式で計算していても、残業代が全て無効になるわけではありません。法律上の計算式で、不足した額を支払えてば足ります。
 労働時間や、業務量に連動する仕事に対する手当については、「残業代の支払いとして支払う」ことを明示しておけば、残業代の支払いとして認められます。なお、 法律上の計算式で残業代を別途計算して不足した額があれば同額を支払う必要があります。

 「土日の出勤があれば、休日出勤手当として1日〇円支払う。なお、休日出勤手当は、残業代として支払う。」という規定を設ける場合

 ※ 土日にの出勤日があれば、週の労働時間が1日長くなります。これに対する支払いと理解できるからです。

 「関西から関東に荷物を運ぶ仕事をすれば1日仕事すれば、近距離運行手当として1日〇〇円支払う。 なお、 運行手当 は、時間外割増賃金として支払う。」という規定を設ける場合

 ※ 遠方への配送をすれば、通常は労働時間が長くなります。 これに対する支払いと理解できるからです。

(4)売上連動型の残業代

 「基本給 + 残業代」という形の給与体系とします。残業代の計算方式を、労働時間×割増賃金で計算するのではなく、売上×会社で決めてた計算式で支払う方法です。

 売上があがれば、通常は労働時間も長くなります。したがって、このような設計もありえます。 なお、 法律上の計算式で残業代を別途計算して不足した額があれば同額を支払う必要があります。

 最判平成29年2月28日(民集255号1頁、判タ1436号85頁)は、売上高等の一定割合に相当する金額を残業手当相当の支払いとする規定は一律に無効とはいえない。通常の労働時間の賃金に当たる部分と労働基準法37条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができるか否か等を考慮して、残業代の支払いにあたるかどか、考慮すべきである、と判断しています。

 上記判例では、最終的には、残業代としての支払いが否定されています。この形での賃金設計には注意が必要です。

判例(歩合給の方法で計算した賃金を残業として支払うことについての判例)

固定残業代の上限

 残業は従業員の健康に影響を与えます。

 月の残業時間は45時間以内が望ましいです。60時間や80時間以上となると、従業員の健康を損なう可能性があります。

残業代の設計方法

 専門的な計算は少し違いますが、ざっくりとした計算としては以下のものとなります。

(1)173時間(月平均所定労働時間)

 365日×(週の法定労働時間)40時間÷7日÷12ヶ月=173時間  したがって、1か月の最大労働時間は、173時間です。

(2)固定残業のざっくりした計算式

 仮に、「会社の見込み残業時間を20時間、会社の支払総額を30万円と設定する。」とします。  

 基本給+(基本給÷173時間)×20時間×1.25=30万円との計算式となります。

 この計算式を解くと、基本給約26万円 固定残業代約4万円という結論になります。

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