Q 労災の手続と、傷病手当はどのように違うのか。
2025/05/27 更新
精神疾患
(1)精神疾患の場合には、労働者が労災であると主張し、会社は労災ではないので、健康保険の傷病手当で対応すると対立しがちである。
(2)各制度は、以下のように違います。
労災の手続 | 健康保険の傷病手当 | |
支給権利者 | 全ての労働者 | 厚生年金の被保険者 |
治療費 | 労働者の負担なし | 労働者の3割負担(負担額に違いがありえる) |
休業保障の金額 | 平均賃金の80%(60%+20%) | 標準報酬月額の平均の67% |
支給期限 | 完治するまで | 1年半まで |
支給の審査 | 労働局が労災にあたるかを審査する。 (精神疾患等であれば、審査は厳しい。) | 医師が就労不能と診断すれば支給される。 (審査は緩い。) |
精神疾患の場合
(1)精神疾患の場合には、支給の難易度を考えれば、(厚生年金の被保険者であれば、)健康保険の傷病手当で手続きすることになります。
なお、会社の責任がある(労災である)と考える社員は、同時に、労災の申請をすることになります。
(2)会社側としては、事故(通勤災害や、業務上の事故)であれば、労災を申請します。これで労災を申請しなければ労災隠しとなります。
(3)これに対して、精神疾患の場合には誰の責任は誰にも分かりませんし、(労災にあたるかどうか)審査にも時間がかかることから、会社側としては、兼保険の傷病手当の手続を選択することなります。