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残業代の計算

月平均所定労働時間の合意は有効か。

2023/04/06 更新

月平均所定労働時間の合意を有効とする見解

(1)安西愈弁護士は、「残業計算をする際の月平均所定労働時間の合意は有効である。」という見解を取っおられるます。(「安西愈「新しい労使関係のための労働時間・休日・休暇の法律実務〈全訂七版〉 」476頁以下)。
(2)例えば、就業規則に、「割増賃金は、月給÷173時間×割増賃金で計算する。」と記載されていることも多い。
(3)労基署の調査であれば、もちろん、同合意は有効とされるでしょう。
(4)裁判所は、どう考えるでしょうか。

月平均所定労働時間

(1)例えば、月給25万円だった場合に、単価はどうやって計算すればよいのでしょうか。
(2)出勤日数が20日であれば、25万円÷20日÷8時間で計算すればよいでしょうか。
 この場合には、1時間あたりの賃金 たりの賃金は以下の計算式で計算します。
 1時間当たりの賃金 = ①割増賃金の基礎となるべき賃金÷②月平均所定労働時間
(3)月平均所定労働時間は、残業代を計算するための、1か月あたりの平均の労働時間をいいます。

私見

(1)例えば、「月給25万円で、出勤日数が20日、1日8時間であるとして1か月間だけ働く。」(・・・①)「残業代の計算の1時間あたりの賃金は、月25万円÷173時間=1445円で計算する。」(・・・②)という契約書があるとする。
(2)①については、「その場合の所定労働時間については、20日×8時間=160時間であるから、25万円÷160時間=1562円で計算する」という考え方と、「残業代の計算の1時間あたりの賃金は、月25万円÷173時間=1445円で計算する。」(・・・②)」という考え方が併存することになる。
(3)結局は、矛盾する合意を一つの契約書で締結してしまったことなりますが、雇用契約書等で、②のような明確な書き方をしてある場合は、②の考え方についてコンセンサス(合意)がとれていると考えてよいと思われます。
(4)逆に就業規則に、「割増賃金は、月給÷173時間×割増賃金で計算する」と記載されているだけであれば、②の考え方についてコンセンサス(合意)がとれてないと考えるべきではないでしょうか。

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