理不尽拒否型の交渉
2025/08/25 更新
第1 主なテクニック
1 相手を言い負かしてはいけない
(1)相手方を言い負かしてはいけません。
(2)例えば、相手方の言い分がおかしいことを論破したとします。確かに、その場では黙って帰るかもしれません。しかし、問題は解決していないので、相手方は大人しくなるわけがありません。
(3)確かに、一般社会では、間違っている人に間違っていることを説明すれば納得してもらえます。
(4)しかし、クレーマーという人々は自分が間違っていることは分かりつつ、自分の利益になるかもしれないと思って、無茶を言っている人です。こういった人は、自分が理不尽なことを言っていることは分かっています。理不尽だと論破しても、嫌がらせが目的ですから、何度もやってきます。
こういう人に対しては言い負かすのではなく、「無茶を言っても、こちらは応じない。」ということを姿勢で示すしかありません。
(5)相手方弁護士である場合も、言い負かしたからといって、言い負かされた弁護士が、相手方依頼者を説得するわけではありません。
むしろ、相手方弁護士は言い負かされたことを隠すためにも、再度、こちらを攻撃してきます。
2 相手方の立場を守る
(1)相手方に恥をかかせても、こちらにはメリットはありません。
(2)むしろ、相手方は感情的になるだけです。
(3)言い間違いや、失態を指摘するのは、無意味かつ有害です。
3 反論しない
(1)相手方の言っていることについて、間違いを指摘しても、解決はしません。
そもそも、相手方がそれを認めることはありえません。
反論するのは時間の無駄です。
(2)それよりも、「自分の立場は◯◯なので、おっしゃるところは分かるけど、それを認めるわけにはいかない。」と言い換えましょう。
弁護士井上が、交渉のマル秘テクニックを伝えます。
4 相手方の言い分を全て聞く
(1)理不尽な主張こそ、その場で、切り捨てずに聞いてあげましょう。そして、しっかり共感することが大切だと考えます。
(2)そもそも、話し合い前に、自分の言いたいことを事前に準備してくる人も多いです。こういう人の場合には、事前に用意した台本を喋らせなければ、話し合いが終わりません。
5 正直かつ、誠実である
(1)相手の話を遮らずに聞きましょう。
相手が理不尽な対応をしても、こちらは誠実に対応しましょう。
法律を守ることは約束しましょう。
理不尽は拒否しても、相手の話を聞いてもっともな要求には対応しましょう。
(2)相手が殴ってきたからといって、こちらも殴って良い、という理屈はたちません。人間なので感情的になるのは仕方ありませんが、感情的に対応すると後日足をすくわれることになります。
(3)交渉の最初のタイミングで、この方針を全員が共有することが大切です。