判例(年俸制の減額が不当である、転勤命令、職種変更命令は無効である、とされた事例)
2026/09/26 更新
東京地判令和7年6月5日 判例タイムズ1547号165頁
年俸制と減額
(1)年俸制は、従業員の成績等に応じて、毎年、給与額を変更・決定する賃金制度です。
(2)年俸制の場合、給与額の算定基準を合意しているなど、給与の決定方法が定まっていれば、次年度の給与額を下げることができる。
(3)本判決では、就業規則や雇用契約書その他に、その合理的な年棒決定の算定基準はなかったという前提で、合理的な算定基準が合意されれば、その基準にしたがって年棒額を変更できる。
しかし、本判決の事案で使われていた方法では、、考慮要素が示されているものの、どのように点数化されて評価されるかのか基準もなく、合理的な算定基準は存在しないとされた。
(4)従業員が入社2年後も勤務成績や態度について求められた基準に達しないことから、管理職を解かれて一般職に降格したことは正当化されたが、給与の減額については合理的な算定基準がないために、給与の減額は違法であるとされた。
転勤命令、職種変更命令
従業員が公認会計士として採用された経緯等を考えると、東京から福岡への長距離転勤と、営業職への変更は合理的理由がなく、従業員の事情を聞かずに不意打ち的に転勤命令及び職務変更命令を命じたことは、就労継続を困難にして退職に追い込む意図すら伺えるとして無効とした。
東京地判令和7年6月5日
判例タイムズ1547号165頁




