ご質問・ご相談などお気軽にお問い合わせください。

TEL 06-6773-9114

FAX 06-6773-9115

受付時間 : 平日10:00 ~18:00 土日祝除く

メールでの
お問い合わせ

予防法務

【社会問題への対応】SDGs(サステナビリティ)情報の開示

2025/01/01 更新

SDGs(サステナビリティ)情報の開示

(1)企業は、社会問題(環境、人権その他)に対し責任を持つことを求めています。
(2)自社の基準で、SDGs(サステナビリティ)への取り組みを開示する企業は増えています。現状では、どのような項目をどのような基準で解するかについて、世界的な基準について調整がされている段階ではありません。しかし、いずれは、これらの基準が作られることでしょう。

SDGs(サステナビリティ)情報の種類

(1)SDGs(サステナビリティ)情報開示情報 については、以下の3つの考え方が考えられます。
(2)①SDGs(サステナビリティ)に配慮不足が株主価値を毀損する可能性やその程度を開示する。
   ②企業の活動のプラスの影響と、マイナスの影響を開示する。
   ③商品の製造、利用、破棄までの影響を開示する。

①株主価値を毀損する可能性やその程度を開示する。

(1)排ガス規制等を違法にすり抜けて販売を拡大しても、いずれ発覚して企業価値を失います。したがって、ステークスホルダーの利益を守ることが、企業価値、ひいては株主の利益につながる、という考え方に基づいています。
(2)この考え方によれば、SDGs(サステナビリティ)情報開示情報を会計基準と一体として読み解くことが可能になります。
(3)SDGs(サステナビリティ)情報開示情報を、株主の価値と、SDGs(サステナビリティ)が対立する場合に、どちらを優先させるのか、という経営上の問題に利用できます。逆に言えば、企業がどのように考えて行動するかのか明確になります。
(4)株主価値の利益のためには、SDGs(サステナビリティ)を無視してよいのか、という問題が生じます。

②企業活動のプラスの影響と、マイナスの影響を開示する。

(1)企業活動には、からなずプラスの影響とマイナスの影響があります。これを明確にしようという考え方です。
(2)企業の活動だけでなく、調達先の取引先の活動についても計算に入れるべき、という考え方がありえます。
(3)いろいろな項目があり、それぞれの重み付けについて議論が生まれ、開示された情報の評価が難しくなります。
(4)統一した基準を作ることが難しく、開示された情報の評価が恣意的になりかねません。

③商品の製造、利用、破棄までの影響を開示する。

(1)商品の製造や、消費者が商品を利用し、その後破棄した場合に、商品あたりの影響を開示する、という考え方があります。
(2)顧客の視点で、その商品を購入するべきかを判断させるべき、という考え方です。
(3)消費者が商品、サービスを使った影響について、どうやって測定するか問題となります。
(4)統一した基準を作ることが難しく、開示された情報の評価が恣意的になりかねません。

社会問題(SDGs)に対応する方法

(1)企業に対し、社会問題(環境、人権その他)に対し責任を持つことを求める動きは、もはや止めようがありません。
(2)企業は、しっかりと戦略を立てて対応すべきです。

①社会問題(SDGs)についての「原則」を決める。

(1) どのような経緯で、ある事柄が社会問題化するかを予想することは困難です。
(2)企業として、社会問題についての自社の考え方を明確に決めましょう。
(3)どのような考え方が正解かは不明です。しかし、どっちつかずの対応は、両方の支持者から批判を受けることになります。

②自社の考え方をしっかりと表明する。

(1)自社のビジョンにしたがって、自社の考え方をしっかりと表明しましょう。
(2)どっちつかずの対応は、両方の支持者から批判を受けることになりかねません。
(3)ある特定の考え方には、賛成者と反対者の両方が存在します。真摯に考えた上で結論であれば、かならず賛成者がいます。損得ではなく、自社のビジョンにしたがって、自社の考え方を表明しましょう。

③SDGs(サステナビリティ)情報の開示

(1)企業に対し、社会問題(環境、人権その他)に対する責任を求める声を無視するのは現実的ではありません。無視を続ければ感情的なやりとりに発展しかねません。
(2)建設的な対話を求めて、積極的に情報を開示すべきです。
(3)いずれは法規制によって開示を義務付けられることが予想されます。また、いろいろな第三者機関がいろいろな観点で企業のランキングを作ることが予想されます。
(4)そうであれば、企業が、どのような基準でSDGs(サステナビリティ)情報を開示するのが適切なのか、なぜ、その基準が適切であると考えるのか、か検討し、また、開示による反応を予想し、開示するまでの期限切って企業を改革すべきです。

④ステークホルダーの意見を聞き、企業として回答する。

(1)情報を開示し、ステークスホルダーの意見を聞きましょう。
(2)全ての企業に負の部分があります。企業が負の部分にいて、どのようなことができ、何ができないかを回答スべきです。

SDGs(サステナビリティ)の活動と、付加価値を真剣に検討する。

(1)消費者の立場で、自社のSDGs(サステナビリティ)の活動が、自社製品の付加価値となるかを検討しましょう。
(2)①SDGs(サステナビリティ)の活動が、自社製品の付加価値となる場合、②付加価値とならず、コスト増となるだけの場合、③イメージダウンとなる場合が考えられます。
 例えば、③について、天然由来の洗剤では洗浄力が落ちる。もしくは落ちなくても消費者がこれを心配して売上がダウンすることも考えられます。
(3)企業の努力で解決できるのは①の分野だけです。したがって、①②の場合には、規制の必要性を訴えることも必要でしょう。

参考

 ハーバード・ビジネス・レビュー2025年1月号82頁以下

 ハーバード・ビジネス・レビュー2024年7月号110頁以下

「予防法務」トップに戻る

Contact.お問い合わせ

    ※個人情報の取り扱いについては、プライバシーポリシーをご覧ください。