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残業代の計算

【業場外みなし労働時間制】判例(従業員が自らの判断で労働時間を決めていた事案で、事業場外みなし労働時間制の適用がありえる、とした判例)

2024/04/29 更新

事業場外みなし労働時間制

(1)事業場外みなし労働時間制は、①事業場外で社員に仕事をさせて、②その社員の労働時間の算定が困難であると認められるときには、③(実際の労働時間ではなく)その業務を遂行するのに通常必要な時間を労働時間として計算する、
(2)②労働時間の把握が困難であることが必要です。したがって、会社が、IT機器等を使って労働時間を把握可能であれば、事業場外労働のみなし労働時間制の適用はありません
(3)仮に、事業場外労働のみなし労働時間制の適用がない場合には、実際にかかった労働時間を計算することになります。労働時間の把握が困難であれば、何らかの方法で労働時間を推認して合理的な時間を認定していくしかありません。


令和5年4月16日最判


 以下の事案において、業場外みなし労働時間制の適用が肯定されました。


1 時系列
 社員Xは、事業所外で、具体的な業務をしており、携帯電話を貸与されていたが、これを用いて具体的な指示を受けたりはしていなかった。
 社員Xは、タイムカードを用いた労働時間の管理を受けておらず、自らの判断で始業時刻、終業時刻、訪問先、訪問時間を決めることができ、直行直帰することができた。
 社員Xは、月末に就業日毎に、始業時刻、終業時刻、訪問先、訪問時間、休憩時間を記入した業務日報を会社に報告した。


2 結論 
(1)社員Xは、訪問の予定など、自分の労働時間を自主的に決めて、自分の判断で直行直帰することができた。
(2)原審では、業務日報をベースに訪問先に問い合わせれば、労働時間を把握可能と判断したが、実際に問い合わせが可能なのか、そして、問い合わせても、業務日報の正確性を判断できるかは、不明である。
(3)業場外みなし労働時間制の適用(「労働時間を算定し難いとき」にあたるかは、原審でもう一度、審理すべき、と判断した。

令和5年4月16日最判

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92906

解説

(1)「労働時間を算定し難いとき」にあたるかについては、外回りの営業職について、エクセルの日報に、訪問先、訪問時間等を記載させて報告させていた事案では、IT機器等を使って労働時間を把握可能であったとして、事業場外労働のみなし労働時間制の適用が否定されてきた。
(2)これに対して、在宅勤務(テレワーク)においける事業場外みなし労働時間制については、労働時間の管理が可能かという側面だけでなく、従業員に何時から働いて、何時まで働いて、どのタイミングで休憩をするのか、労働時間を自主性に任せるのであれば、事業場外労働のみなし労働時間制の適用が肯定されるというのが、厚生労働省等の公式見解でした。
(3)本件は、「労働時間を算定し難いとき」にあたるかについて、事業場外で働く、従業員が何時から働いて、何時まで働いて、どのタイミングで休憩をするのか、労働時間を自主性に任せれている場合には、事業場外労働のみなし労働時間制の適用が肯定される可能性がある、とした判例です。

厚生労働省のテレワークについてのHP

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html

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