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残業代の計算

【変形労働時間制】変形労働時間制を利用するリスク

2024/02/16 更新

変形労働時間制の概略

 変形労働時間制は、ある期間の所定労働時間の平均が法定労働時間を超えない場合には、その所定労働時間を就業規則や労使協定で定めることで、その期間の日の労働時間が8時間を超えても、その期間の週の労働時間が40時間を超えても、法定労働時間を超えたとの扱いをしない制度です。

変形労働時間制の運用は難しい

(1)以下の事情があると変形時間労働制は、無効となります。

 ◯就業規則が周知されていない。労使協定の労働者代表者について選任の手続が取れていない。

 ◯総労働時間が173時間を超えているなど、恒常的に所定労働時間の平均が法定労働時間を超えている。

 ◯シフトが、そもそも、所定労働時間の平均が法定労働時間を超えている。

(2)アルバイトを多数雇っており、シフトを組めば週の労働時間が40時間以内に収まるような会社でなければ、変形時間労働制の運用は難しい、といえます。

所定労働時間を7時間30分としているケース

(1)変形労働時間制を導入する前提に、所定労働時間を7時間30分となっているケースがあります。

(2)従業員に周知された就業規則の方が、実際の労働条件がより有利な場合には、就業規則の基準が労働条件となってします(最低基準効)(労働基準法93条、労働契約法12条)

 就業規則で所定労働時間を短く定めれば、残業を計算する上での単価をアップさせることになります。

変形労働時間制の効果は限定的です

(1)変形労働時間制において、スケジュールどおりである限りは、その期間の日の労働時間が8時間を超えても、その期間の週の労働時間が40時間を超えても、法定労働時間を超えたとの扱いをしません。

(2)仮に、変形労働時間制が有効であるとしても、時間外割増賃金を減らせるのは上記の限りとなります。

(3)変形労働時間制については運用そのものが現場任せになる反面、人件費の削減効果は、5%程度でしょう。

変形労働時間制を使わない

(1)変形労働時間制を使うと、計算が複雑になります。

(2)私見としては、同制度を使わずに給与計算したほうが、メリットが多いケースもあると思います。

労働基準法32条の2
1項 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の一定の期間を平均し一週間当たりの労働時間が前条第一項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
2項 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。

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