【1ヶ月単位の変形労働時間制】1ヶ月単位の変形労働時間制(就業規則型)
2024/02/16 更新
変形労働時間制の概略
変形労働時間制は、ある期間の所定労働時間の平均が法定労働時間を超えない場合には、その所定労働時間を就業規則や労使協定で定めることで、その期間の日の労働時間が8時間を超えても、その期間の週の労働時間が40時間を超えても、法定労働時間を超えたとの扱いをしない制度です。
1ヶ月単位の変形労働時間制の手続
(1)毎月、シフトを作成して、これを社員に配る場合に、(1ヶ月単位の変形時間労働制を有効になるには)以下の手続が必要です(就業規則型)。
① 就業規則で、労働時間のスケジュールの決め方(スケジュールの起算日、始業時刻、終業時刻、シフトの設計の考え方、作成手順、周知方法)の基本的事項を決めること。
② スケジュールの期間が1ヶ月以内で、その期間において、以下の労働時間に枠内におさまっていること
1ヶ月の歴日数 | 労働時間の総枠(40時間制の場合 |
28日 | 160時間 |
29日 | 165.7時間 |
30日 | 171.4時間 |
31日 | 177.1時間 |
③ スケジュールが①のとおり作成されていること
④ スケジュールが①のとおり、事前に社員に周知されていること
⑤ ①~④の内容が、社員の生活設計を損なわない形で運用されていることが必要でしょう(私見)。
社員の生活設計を考えれば、複雑なシフトパターンはふさわしくありません。
(2)労働条件通知書に定めなくても、変形時間労働制を利用できます。
しかし、社員の理解を得ること考えれば、雇用条件において以下の事項を記載したほうがよいでしょう。
雇用条件通知書の記載例
「店舗スタッフの所定労働時間は、変形労働時間制を適用し、毎月前月の◯日までに配布されるシフト表のとおりとする。」
1ヶ月単位の変形労働時間制の効果
(1)変形労働時間制において、スケジュールどおりである限りは、その期間の日の労働時間が8時間を超えても、その期間の週の労働時間が40時間を超えても、法定労働時間を超えたとの扱いをしません。
(2)スケジュールをオーバした場合にも、①変形労働時間制のスケジュールをオーバーし、かつ、②法定労働時間(1日の労働時間が8時間、週の労働時間が40時間)を超えた時間のみについて、時間外割増賃金を計算すれば足ります。
例えば、スケジュールでは7時間であったが、その日8時間労働しても、1時間分の時間外割増賃金を支払う必要がありません。もっとも、総労働時間において、1時間多く働いているので、1時間分の基本賃金を支払う必要があります。
(3) 早朝深夜割増賃金は、これを適正に計算し、これを支払う必要があります。
(4)法定外休日割増賃金は、これを適正に計算し、これを支払う必要があります。
労働基準法32条の2 1項 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の一定の期間を平均し一週間当たりの労働時間が前条第一項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。 2項 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。 |