残業代の時効(消滅時効)
2023/04/06 更新
残業代の時効(消滅時効)
(1)給与の支払日について、締め日と支払日があります。
「毎月月末締、翌月10日払」の会社では、「4月1日~4月末日分」の給与は「5月10日に支払い」となります。
(2)令和2年3月末日までに、支払日が来るもの
時効は2年です。
(3)令和2年4月1日から、支払日が来るもの
時効は3年になります。(令和2年4月1日より、残業代の時効が「2年」から「3年」に延長されました。 )
(4)なお、残業代の時効については、さらに5年に延長予定です(時期は未定)。
事例(実際に計算してみよう)
(1)令和4年6月27日に、「残業代を支払え。」との内容証明が届きました(・・・(ア))。
(2) 会社の給与は「毎月月末締、翌月10日払」となっています。
(3)社員は、令和1年5月1日(・・・(イ))に入社し、令和4年5月末日(・・・(ウ))に退社しています。
(4)いつから、いつまでの労働日分の未払残業の有無が問題になるでしょうか。
考え方1(エクセル式で計算する)
エクセル表を作って計算する方法があるでしょう。(考え方1)
(1)上記の表より、「令和2年3月1日から退社日の(ウ) 令和4年5月末日」までの労働日分の未払残業の有無が問題になります。
考え方(2)(法律家だったら、こう考えるべき?)
(1)2年の時効と3年の時効を分けて計算する方法もあるでしょう。
(2)令和4年6月27日に、「残業代を支払え。」との内容証明が届きました(・・・(ア))
(3)まず、2年の時効で考えます。
令和2年6月1日~同月末日の労働日(・・・(ウ))の支払日は令和2年7月10日となり、消滅時効が2年だと仮定すると、(ア)の内容証明は時効期間満了前に到達しており、(ウ)の労働日については「時効の完成猶予(中断)」が成立します。
そうすると、「(ウ)の令和2年6月1日から(カ)退社日の 令和4年5月末日」までの労働日については、「時効の完成猶予(中断)」が成立します。
(3)次に、支払日が令和2年4月1日以降となる給与について時効が3年になったことを前提に修正します。
令和2年3月1日~同月末日の労働日(・・・(エ))の支払は令和2年4月1日以降となります。そうすると、(エ)については、 (ア)の内容証明は時効期間満了前に到達しており、(エ)の労働日については「時効の完成猶予(中断)」が成立します。
そうすると、「(エ)の令和2年3月1日からの労働日」についても、「時効の完成猶予(中断)」が成立します。
(4)結論
「(エ)の令和2年3月1日から退社日の(ウ) 令和4年5月末日」までの労働日分の未払残業の有無が問題になります。