交渉を録音する際のポイント
2025/08/25 更新
1 録音するときのポイント
(1)相手方と話し合いを録音する場合、録音していることを相手方に伝えて許可を得る必要はありません。
(2)相手方の許可がなくても、民事裁判ではその録音データを証拠として使えます。
2 録音を証拠として効果的に使うポイント
(1)特に大事な会話だけ録音しましょう。
(2)録音データのほかにも、当時のやりとりを要約したメモを作って別途保管します。
そうすることで、決定的な発言がどこにあるのか、検索することが可能になります。
(3)録音に頼らなくても、例えば「昨日はこういう話でしたね。」とメールを送る等して、簡単に証拠化することも可能です。また、本日の話し合いの内容を要約して、当事者に確認の署名をしてもらうことも有効です。
3 録音を意識した交渉のスタート
(1)まずは、挨拶をして、出席者全員の名前を確認しましょう。
(2)複数の当事者が参加する場合は、録音データを聞いた際に誰がどの発言をしたのか混乱することがあります。名前を確認することで、後日聞くときに、この声はAさんだと分かりやすくなります。
(3)録音のテープを聞いても、全体的な流れを知らなければ、その話を聞いただけでは話の内容が分からないことがあります。
知らない人が立ち会っていると想像し、「まず、本日集まってもらった目的を確認します。今までの経緯としては、〇〇でした。そこで、△△…」というイメージで、5分程度、今までの経緯を説明した上で録音されることをお勧めします。
4 録音するときの機材
テープよりもICレコーダーが便利です。
5 録音するときの注意点
(1)スマホで録音することは止めましょう。
「スマホで録音したのです。」とスマホを持ってくる方もいますが、スマホを長時間預かることはできません。
(2)ICレコーダーは、音声データをパソコンに吸い出せるタイプを選んでください。全ての機種がパソコンに接続して録音データを吸い出せるとは限りません。
6 録音した後にやるべきこと
(1)ICレコーダーで録音した場合には、パソコンに移して、ファイルに日付を入れます。
(2)また、録音内容のメモを作らなければなりません。
(3)メモを作らなかったり、日付を入れていなかったりする場合には、後日、検索できなくなります。
そうしないと、どこに大事な会話が入っているか分からず、証拠として使えないということも起こりえます。
※ファイル名の例 「030422 【録音】 ヤマサ商事との話し合い」 ※メモの例 日付 〇年〇月〇日 場所 西田商事 西崎支店 参加者 ●●さん △△さん 〇〇さん 話した内容 山田商事としては、賠償するべきかどうか調査中である。 山田商事の●●さんから、6月までに方針の回答がある。 ポイント 山田商事の●●さんは、■が原因であると明言している (15分20秒)。 |
7 録音する前の練習
(1)録音をする2、3日前に、機材を購入して2、3回練習するようにしてください。
(2)2台別々の機械で録音すればより安全です。
8裁判所に録音データを提出する場合
(1)裁判所に録音データを提出する場合には、会話の内容を文字起こしして文章化したものを提出する必要があります。
(2)発言者と、発言を記載します。また、会話だけでは分からない全体的な流れも別途説明資料を作ります。
(3)つまり、録音データは客観性が高いものの、これを証拠化するには、かなりの作業が発生します。
※文章化の例 (当発言者) (発言) 西田君 : 全て私の責任ということですか。 山田部長 : そこまでは言っていない。しかし、君からは反省の言葉が全くない。 西田君 : 先週言っていたこととは、違いませんか。 |