Q 実務上(旧訴訟物理論で考えた場合)、訴訟物は、どうやって特定されますか。
2026/03/19 更新
訴訟物
(1)訴訟物とは、裁判における審判の対象のこと。
(2)旧訴訟物理論は、実体法の権利(請求権や、形成権)ごとに訴訟物を構成すると考える。
実務と旧訴訟物理論
(1)実務は、旧訴訟物理論を採用しています。旧訴訟物理論を前提にすれば、原告の訴状の記載から訴訟物を特定し、原告の請求原因事実と、被告の抗弁を明確にすることができます。
これに対して、新訴訟物理論では、どこまで審判対象となっているか不明確であるからです。
(2)例えば、原告が以下の訴状を提出したとします。なお、訴訟物は、訴状の「よって◯◯を請求する」(よって書き)等の訴状の記載により判断されます。
| 訴状 請求の趣旨 被告は、原告に対し100万円を支払え。 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決並びに仮執行の宣言を求める。 請求原因 1 消費貸借 (1)令和7年4月3日、原告は被告に対し、以下の条件100万円を貸し付ける合意をした。 返済日 令和7年7月末日 返済額 100万円 (2)令和7年4月3日、原告は被告に対し、100万円を銀行振込で送金する方法で支払った。 (3)令和7年7月末日は経過したが、被告は原告に返済しなかった。 2 貸付の動機 (1)もともと、被告は飲食店のオーナであった。 (2)令和7年3月ごろ、被告は原告に対し、2店舗目の飲食店をはじめる運転資金として貸してほしい、と説明していた。 (3)原告は、これを信じて、1のとおり、100万円を貸し付けた。 (4)令和7年8月ごろ、原告は被告と連絡が取れなかったことから、被告が運営していると聞いていた飲食店まで言ったところ既に閉店していた。隣のビルの1階の人に聞いたところ、令和7年3月末日には、被告は飲食店を撤退していた。 (5)同日まで、原告は被告を含めて、誰からも、令和7年3月末日には、被告が飲食店を撤退していたことを聞いたことはなかった。 (6)令和7年10月末日現在、2店舗目の飲食店についても、被告は開店準備をしていない。 3 被告の詐取 (1)以上を考慮すれば、被告は原告に対し、「2店舗目の飲食店をはじめる運転資金として使用する。」ことの予定がないのに、これがあるかのように偽って、原告から100万円を詐取した。被告が原告からこれらを黙貸金名目で100万円を交付させたことは刑法上の詐欺の要件に該当し、不法行為の故意過失に該当する。 (2)よって、原告は、被告に対し、民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求として100万円の支払いを請求する。 |
訴状の記載により訴訟物を判断する
(1)上記の訴訟のよって書きを読めば、本件の場合の訴訟物は、「令和7年4月3日、被告が原告を騙して100万円を交付させた不法行為に基づく損賠償請求権利」であることになります。
(2)訴訟物が「不法行為に基づく損害賠償請求権」となることによって、原告の請求原因と、被告の抗弁が決まります。






