判例(株主総会の招集通知において、法人の株主の代理人が株主総会に出席する場合の確認書類として、法人の印鑑証明を求めていた。しかし、招集通知発送の3日後には、法人の株主についても、議決権行使用紙の原本のみで、正当な代理権があるものとして取り扱うと、HP及び郵送で通知した場合には、株主招集通知に問題はない(議決権行使の機会は十分に保障されている)。
2025/10/06 更新
判決
株主総会の招集通知では、法人の株主の代理人が株主総会に出席する場合の確認書類として、法人の印鑑証明を求めていた。しかし、その後、法人の株主についても、議決権行使用紙の原本のみで、正当な代理権があるものとして取り扱うと、HP及び郵送で通知した場合には、株主招集通知に問題はない(議決権行使の機会は十分に保証されている)。
東京地判 令和6年9月10日
判例タイムズ1535号241頁
解説
1 委任状
(1)会社法310条は、株主が代理人に頼み、代理人が株主に代わって株主総会で議決権を行使することを認めています。
(2)これに対して、代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない(会社法310条)。
(3)代理権の証明方法について、どんな書類を要求するのか、いつまでに提出しなければならないのかは、株主総会を開催する会社の合理的な裁量に委ねられている。
2 法人株主の本人確認書類
(1)法人株主の本人確認書類としては、議決権行使用紙の原本の添付のみで足りるとするのが一般的であり、印鑑証明まで求めることは一般的でない。
(2)本件では、招集通知発送の3日後には、法人の株主についても、議決権行使用紙の原本のみで、正当な代理権があるものとして取り扱うと、HP及び郵送で通知した場合には、株主招集通知に問題はない(議決権行使の機会は十分に保障されている)、と判断されました。
3 本人確認書類の期限
(1)本件では、株主総会の前日の午後5時30分までに、本人確認書類を提出するように求めていました。
(2)この点は合理的な制限であると判断されています。