【なぜなぜ分析】新人指導となぜなぜ分析
2024/08/25 更新
なぜなぜ分析
(1)なぜなぜ分析は、問題点について「なぜ」と聞きます。答えが返ってきたら、再度、その答えに「なぜ」と聞きて問題の本質を分析する手法です。
(2)新人社員(回答者が分析能力を持っていない人)に対する場合には、「なぜ」と聞いてはいけません。
なぜなぜ分析の例
部下
●●様、来月から、A社との取引が半分になります。
上司
なぜ、取引が半分になったのか。
部下
A社が、来月から商品Bの購入を取りやめることになったからです。
上司
A社はなぜ、来月から商品Bの購入を取りやめることになったのか。
部下
先月、A社の●支店で、商品Bの販売実績が大きく下がったからです。
上司
商品Bの販売実績はどれくらい下がったのか。その原因は何ですか。
部下
分かりません。
上司
まずは、それを電話で聞いてもらえないですか。そして、わが社で、A社に対しできることがないか、考えて下さい。
部下
分かりました。
新人指導に「なぜ」と聞いてはいけません。
(1)なぜなぜ分析では、回答者が原因の分析能力を持っていることが前提となります。
(2)人間は誰でも自分の責任を否定したくなります。新人社員に「なぜ」と聞いてしまうと、失敗の原因を客観視できませんので、自分の責任を否定する発言を誘発します。
(3)さらに、人間は、一度、回答してしまうと、その回答を撤回できません。
人は、自分の考え方や行動を正しい、と考える傾向があります(確証バイアス)。
(4)上司は、部下に対し「そのような誤解を生じる状況ではなかった。」「言い訳をするな。」と説教が始まります。
本筋と違った議論が始まります。
不適切な質問の例
上司
「再発防止のために、どうすればよいと思いますか。」(上司の質問の罠)
※ 新人社員に再発防止策を聞いていることがミスリードです。
部下
「指示が●●とも、△△解釈できる内容だったので、●●としました。これが原因です。」(部下の他責な言い訳)
※ 人間誰しも自分の責任は否定したくなるものです。「本来、どうすればよいのか。」を正確に理解していないからミスを起こしたのです。その者に説明を求めてれば、当然、不適切な回答が出てきます。
上司
上司は、部下に対し「そのような誤解を生じる状況ではなかった。」「言い訳をするな。」と説教が始まります。
(省略)
(何をすべきだったか。)手順について、議論をする。
(1)事実確認の後に、(何をすべきだったか。)手順について議論をすべきです。
(2)事実確認は部下からヒアリングします。
(3)「✕✕(事実関係)だったので、◯◯すべきでした(手順)。」、という分析は、上司がすべきです。
(4)その上で、 「すべきことをしなかった。」のか、「すべきことは分かっていたが間違えた。」に分けて分析すべきです。
参考
ハーバード・ビジネス・レビュー総集部「 セルフ・アウェアネス」30頁以下
1 事実を確認する。
上司
「先ほどのAさんの話をまとめます。」
「●●の書面の提出時期は、〇日で、本日は×です。」「私は、Aさんに書類の作成を頼みました。」
「私は書類に、OKを出しました。しかし、Aさんは、会議前に参加者に配らいませんでした。」
Aさん
「はい。」
2 手順を確認する
上司
「会議の資料なので、前日までに、参加者に配った方が当然よいと思います。そこまで、気をまわして、事前にメール等で送った方がよいですよね。」
Aさん
「はい。」
3 「すべきことをしなかった。」のか、「すべきことは分かっていたが間違えた。」に分けて分析する。
上司
「Aさんとしては、このこと(手順)に気が付かなかったのでしょうか。」それとも、「何か事情があって、送れなかったのでしょうか。」
Aさん
「私も、社会人経験がなく、そこまで気が付きませんでした。」
上司
「なるほど、私も、新人指導の経験が浅く、そこまで指導ができていませんでした。」
「会議の資料なので、前日までに、参加者に配った方が当然よい。そこまで、事前にメール等で送ってほしい、と説明すべきでした。」
参考
小倉 仁志「なぜなぜ分析10則 真の論理力を鍛える」
小倉 仁志「問題解決力がみるみる身につく実践なぜなぜ分析」