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予防法務

「クレーマー」の対応マニュアルを作る

2024/10/06 更新

「クレーマー」の対応マニュアル

(1)「クレーマー」の対応マニュアルは、以下の内容について、基準を定めることが必要です。

 ① クレーマーとして、認定する基準
 ②クレーマーに対応し、話を聞くときの基準(聞く対応)
 ③クレーマーに対応し、撃退策として対応の基準(警告する基準)
 ④クレーマーの対応を報告する基準

① クレーマーとして、認定する基準

(1) 現場のスタッフから話を聞いて、スタッフの立場で「受け入れない行為」をリストアップしましょう。
(2) 「同じ話を30分繰り返す」など、数量的に判断できる要件を定義に入れましょう。判断しやすい基準を作りましょう。

① クレーマーとして、認定する基準」の例

◯大声で話をされる。二度警告しても同じ状態となり、30分以上話をする。
◯毎日、同じ用件で電話してくる。これが、5日以上となる。
◯週に合計で、1時間以上、同じ要件で電話、来店を問わずに時間がとられる。
◯2回商品を交換し、3回以上、商品の交換を依頼する。
◯ネットに、会社の対応を記載すると脅す。
◯社員に暴言を吐く。
◯社員の体に理由なく触る。

②クレーマーに対応し、話を聞くときの基準(聞く対応)

(1) 現場のスタッフが、クレーマーと話をするときにどうすればよいのか、話を聞くときの対応をまとめておきましょう。

②クレーマーに対応し、話を聞くときの基準(聞く対応)」の例

◯感情的にならない
◯特別扱いはしない。理不尽な要求は飲まない。
◯クレーマーの家に行って説明するのは論外です。話し合いの場所は、自分たちで用意しましょう。
◯一人では対応しない。「私だけでは対応できません。上司を同席させて下さい。」という。
◯録音する。

③クレーマーに対応し、撃退策として対応の基準(警告する基準)

(1)クレーマーに対する対応として、どこまでが許されるのか、明確にしておきましょう。

(2)「電話にて、誹謗中傷を繰り返すお客様に対しては、『そのような言い方はやめて下さい。』『そのような言い方をされる場合には、当社としては電話対応をお断りします。』と警告を2回して、かつ、30分以上電話が終わらないときには、電話を切っても良い。」など、数量的に判断できる要件を定義に入れましょう。

③クレーマーに対応し、撃退策として対応の基準(警告する基準)」の例

◯1万円以下の商品については、お客様がクレマーと判断できるときには、各スタッフの判断で返金をして取引を停止してもよい。
◯店長が「そのお客様の取引が、事後的な顧客対応を含めると採算が合わない。」と判断したときには、店長の許可を得て返金をして取引を停止してもよい。
◯電話にて、誹謗中傷を繰り返すお客様に対しては、『そのような言い方はやめて下さい。』『そのような言い方をされる場合には、当社としては電話対応をお断りします。』と警告を2回して、かつ、30分以上電話が終わらないときには、電話を切っても良い。
◯上司が話し合いに参加する際に、「スタッフのAより話を聞きました。この度は大変申し訳ありませんでした。他のお客様もいらっしゃいますので、30分に区切らせてお話をさせて頂きます。」と時間を区切らせてもらう。時間をオーバーした場合には、「申し訳ありません。時間になりました。お話については即断できません。検討したうえで回答させて下さい。」と回答して退店をお願いする。退店して頂けない場合には、警察を呼ぶ。
◯(クレーマーは同じ、話を何度もしている。)お客様の要望が同じ話であれば、クレーマー対応の対応時間は、1回目が2時間なら、2回目は1時間、3回目は30分と減らす。時間をオーバーした場合には、「申し訳ありません。時間になりました。お話については即断できません。検討したうえで回答させて下さい。」と回答して退店をお願いする。退店して頂けない場合には、警察を呼ぶ。

④クレーマーの対応を報告する基準

(1)まず、スタッフがそのお客様がクレーマーである場合に、どのように助けを求めるのか、誰に報告するのかを決めて置く必要があります。

(2)次に、今後のクレーマー対応のためにも、報告する責任者と、報告する文書のフォーマットを決めておく必要があります。クレーマーの会話録音し、これを文字起こしのソフトで文字起こしすれば、短時間で見直せます。最近は、文字起こし優れたITツールが多数でています。具体例を集めて、マニュアルの改善が必要です。

(3)悪質なケースでは、本社と相談して弁護士と相談できる体制も必要です。

④クレーマーの対応を報告する基準」の例

 ◯「少し5分お時間下さい。私だけでは対応でる問題ではありません。経験豊富なスタッフを同席させて下さい。」と言って、上司に報告する。

 ◯報告者は、店長とする。

④クレーマーの対応を報告する基準」の例

 ◯クレームの報告は別紙の書式で本社に報告する。

 ◯悪質なケースと、よくあるケースで報告書のフォーマットを分けてもよいでしょう。

参考

 ビジネスガイド2024年1月40頁

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