カーボンニュートラル(脱炭素)に対し、取締役会がすべきこと
2025/02/10 更新
カーボンニュートラル(脱炭素)の問題
(1)カーボンニュートラル(脱炭素)に対する会社の取り組みは重要性を増しています。
(2)取締役会としてどのように取り組むべきでしょうか。
①監査が業務だと宣言する
(1)まずは、経営陣がカーボンニュートラル(脱炭素)に対し、本気で取り組んでいるかを監査することが取締役会の業務であると宣言しましょう。
(2)取締役会が下記の項目について、どこまでやるかを議論して、宣言に組み入れましょう。
②取締役会の組織構成
1 構成メンバー
(1)カーボンニュートラル(脱炭素)に対し取り組みとしても、専門知識がある取締役はいないでしょう。専門知識がある者を取締役に加える方法もあります。しかし、専門家を呼んで意見をもらってこれをまとめていくほうが有益でしょう。
(2)そもそも、カーボンニュートラル(脱炭素)の専門家とは誰を指すか不明です。
(3)また、経営が分かっていない者をメンバーに入れると、理想論だけになるかもしれません。
(4)このような勉強会を何回やるかを宣言してもよいかもしれません。
2 委員会
(1)委員会を作って、カーボンニュートラル(脱炭素)について議論する専門の委員会を作ることも考えられます。
(2)しかし、カーボンニュートラル(脱炭素)については各分野の専門家が総力をもって成し遂げものです。
(3)責任者(責任部門)を決めますが、その者が全体的な項目を作ったうえで、各部門に担当を分けるのがよいでしょう。
3 勉強会の開催
(1)カーボンニュートラル(脱炭素)については各分野の専門家が総力をもって成し遂げものです。
(2)専門家を招いて、取締役や経営陣に参加を求めて必要な知識を勉強するようにカリキュラムを作りましょう。
③企業のボジションを決める
(1)確かに、カーボンニュートラル(脱炭素)の取り組みが同時に株価の上昇につながるという企業もある。しかし、多くの企業では、カーボンニュートラル(脱炭素)の取り組みはコスト増を招き、利益の現象をもたらすことが多いだろう。
(2)したがって、企業がどのような立場を目指すべきなのかを明確に決める必要があります。
(3)①カーボンニュートラル(脱炭素)問題のリーダーを目指すのか、②業界平均を目指すのか、③法を守ればよいのか、というポジションを明確にすべきです。
④経営陣に問いかける
(1)取締役会は経営陣に対し、カーボンニュートラル(脱炭素)への取り組みに対し計画書を求めるべきです。
(2)その計画書には以下のことが書かれているべきです。
①各分野の具体的な目標
②①の目標が会社にとって適切だと考えた理由
③①の目標を達成するための手段
④③のコスト(投資額)
⑤①の達成は可能なのか(実現可能性の程度)
⑥各分野の責任者
⑤結果について責任を問う
(1)理屈の上では、カーボンニュートラル(脱炭素)の目標達成について、経営陣や取締役会の報酬に連動させることが考えられます。
(2)少なくとも、カーボンニュートラル(脱炭素)問題の責任者を決めて、目標達成、未達成とその原因についての説明責任を負わすべきです。SDGs(サステナビリティ)情報開示情報 については、以下の3つの考え方が考えられます。
⑥カーボンニュートラル(脱炭素)の課題を議論し公開する
(1)確かに、カーボンニュートラル(脱炭素)の取り組みが同時に株価の上昇につながるという企業もある。しかし、多くの企業では、カーボンニュートラル(脱炭素)の取り組みはコスト増を招き、利益の現象をもたらすことが多いだろう。
(2)会社として、カーボンニュートラル(脱炭素)の取り組みを推進できない原因と、その課題を明確にして、解決策について真剣に議論すべきです。
(3)業界全体で取り組むべきかもしれません。もしくは、企業の努力で解決できないとして規制の必要性を訴えることあるかもしれません。しかし、課題を明確してその解決策をオープンに議論すべきです。
参考
ハーバード・ビジネス・レビュー2025年3月号92頁以下