Q 不祥事が発生した場合には、取締役等はどのように対応すべきですか。
2025/05/25 更新
会社の役員の忠実義務・善管注意義務
(1)取締役等は、会社に対して忠実義務、善管注意義務を負っています(会社法355条等)。
(2)取締役等としては、社の役員は、会社(社長)を監査する義務を負っています。。
不祥事の調査チームを作る
(1)取締役等は、不祥事の調査チームを作るべきです。
(2)調査チームの規模によっては、「不祥事調査委員会」を組織すべきです。
(3)以下は、「不祥事調査委員会」という名称で話を進めます。
不祥事調査委員会
(1)不祥事調査委員会は、社内の不祥事を調査するための特別なチームです。
(2)社内の人間だけで構成される場合、社外取締役を含む場合、外部の専門家を含む場合がありえます。
(3)内部の人間だけで一時調査を行い、外部のメンバーを追加して、追加調査が必要か必要かを判断してもよいでしょう。
①コアの相談役を決める
(1)社内の不祥事が発覚した場合、社内の事情を知りつつも、独立した立場の人に相談するのが適切です。
(2)顧問弁護士や社外取締役など、どんなメンバーを巻き込むか、巻き込んだメンバーにどんな依頼をするか相談する人を決めましょう。
②不祥事調査委員会の設立
(1)不祥事調査委員会のメンバーを決める必要があります。
社内の人間(社員、役員)、社外取締役、外部の専門家が候補となります。
社内の人間を多く含めば、迅速かつ、低コストの調査が可能となります。
社内の人間を多く含めば、専門的かつ、会社に忖度しない調査が可能となります。
(2)調査の目的、調査の範囲・方法、調査期間を決めて、不祥事調査委員会(のメンバー)に調査を依頼する必要があります。
(3)不祥事調査委員会(のメンバー)の報酬と、予算を確保する必要があります。
予算やメンバーについては、顧問弁護士や社外取締役と相談して決めていくことになります。
(4)調査結果を公表する予定なのかを明確にする必要があります。例えば、調査結果を公表する予定であれば、その前提でのヒアリングが必要です。秘密にするから話してほしいと聞いておいて、その結果を公開するとトラブルになります。
③経営陣との調整
(1)不祥事調査委員会の方針について、経営陣のとの調整が必要です。
(2)仮に、経営陣が自身の責任問題が明確になろうとも、徹底した原因究明と再発防止を望む、という姿勢がなければ、調査も進みませんし、改善もされません。経営陣としての姿勢を明確にする必要があります。(自由と正義2022年8月号20頁)
(3)不祥事調査委員会の意見を聞いて、どの程度、経営陣に伝えるか、を考えることになります。
(4)忖度した調査は不適切ですが、経営陣の受け入れ難い調査を行っても、その調査結果を活かせません。
④情報公開のタイミングや情報の内容を決める
(1)調査が進むたびに、集まった情報を、どのタイミングで、どの程度公開するか問題となります。
(2)不祥事調査委員会の意見を聞いて決定していくことになります。
③再発防止策の作成と、モニタリング
原因究明と再発防止策が明確になれば、それを実践できているかについてモニタリングする必要があります。
参考
自由と正義2022年8月号9頁以下
自由と正義2022年8月号15頁以下