判例(定年後の再雇用者の更新について、客観的合理性があれば、従前の条件よりも引き下げることも許される)
2025/08/16 更新
高年齢者雇用安定法
高年齢者雇用安定法は、会社に以下の対応を義務付けています。
(1)定年を60歳未満としてはならない。
(2)①②③のいずれかの措置をとらなければならない。
①65歳まで定年を延長すること
②定年を撤廃すること。
③65歳までの雇用継続制度を設けこと。
継続雇用制度と、更新
(1)高年齢者雇用安定法は、65歳までの雇用継続を義務付けています。
(2)例えば、60歳定年の会社では、60歳で雇用契約を終了します。その後、60歳を超えてから65歳までの間について、会社と従業員が話し合って、新しい雇用契約を結ぶのが継続雇用制度です。再雇用後は、1年更新の雇用契約を締結し、嘱託社員と呼ぶことが多いです。
(3)継続雇用制度において、従業員は、65歳まで雇用契約が更新される期待を有します。しかし、期待すべき労働条件については、従前と同一条件の労働条件に限定されず、客観的合理性があれば、従前の条件よりも引き下げることも許されます。
東京地判令和6年4月25日、東京高判令和6年10月17日
(1)企業の業績不振によって他社に吸収合併されたこと、その他社の再雇用社員と比べると労働条件が高すぎた。
(2)企業は、60歳以上の再雇用社員に対し再雇用の条件について、大きく引き下げる提案をした。
(3)判決では、客観的合理的理由があるとして、 更新後の契約所権を従前の条件よりも引き下げる提案をしたことを合法としました。
参考
ビジネスガイド2025年9月号97頁以下