DXとは何か。
2022/01/30
DXとは何か。
(1)私見では、「DXはITを活用してビジネスを変えていくこと」です。
(2)DXは、「次世代の経営環境で生き残れるように、企業文化を変化させること」とする考え方もあります。
間違ったDX
DXは以下のものではありません。
(1)DXは、IT化ではない。デジタル化ではない。
(2)DXは、旧来からあるシステムを刷新することではない。
(3)DXは、業務改善ではない。
DXブームの背景
(1)インターネットが普及し、消費者が世界と直接つながる時代がきました。距離的な制約が薄れ、企業は、世界中の企業と競う時代が来ました。
(2)資本もない小さな企業が、優れたビジネスモデルを作って、ITを使って一気に成長し、老舗大企業を廃業させる時代が来ました。(デジタルディスラプション)
(3)企業が生き残るためには、新しいビジネスモデルに対応することと、ITを活用することが必要になりました。
(4)つまり、DXブームは、老舗企業が次世代で生き残るためには、次々出てくる新しいビジネスモデルに対応する体制と、ITの活用力の向上を目的とした概念です。
GAFAと互角に戦うために必要なこと
(1)GAFAのようなスタートアップ企業が成功した秘訣は以下のように考えることができます。
①ITを活用したこと
②ITを使って顧客のニーズをデータ化し、試行錯誤の精度を上げたこと
③高速で、試行錯誤を繰り返したこと
④在庫を持たないビジネスを行い、インターネットを使って、少ない資源で世界中の顧客を相手に商売をすることができた(理論上は可能)。
(2)なお、ユニコーン企業になるためには優れたアイデアは必ずしも必要ありません。
ユニコーン企業の中には、オリジナルのアイデアで成功した企業もありますが、先行企業のアイデアを参考にさらに改善を加えた企業も多数あります。
(4)日本企業がユニコーコン企業と互角に戦うためには、以下の課題があります。
DXを実現するための課題
(1)経営者の意識の問題
企業は、成功を勝ち取ったからこそ存在しているわけです。成功体験を捨てて、ベンチャー企業と同じような挑戦をする企業を目指すことは困難です。経営者の意識を変えることは現実的には難しいです。
(2)IT人材の不足、軽視
日本では、IT業務を外注先に全て丸投げしてきた歴史があります。IT人材を社員として雇用していないので、IT活用のノウハウが蓄積されないのです。IT業者には、ビジネスの流れが分かりません。ビジネス側では、どうシステムを作ってよいか分かりません。ITを活用するには、両方の知識が必要ですがそのような人材を育てませんでした。
(3)失敗が許されない文化
日本の人事評価では、挑戦は評価されません。「例えば、100億円の利益が出せる事業に挑戦したが、失敗して成果が出なかった。」場合に、固定的な評価制度で評価はされません。
例えば、10年後に利益がでることが予想される事業に挑戦しても、その年について利益が出ない場合にも、固定的な評価制度で評価はされません。
(4)経営者の意思決定が社員に届いていない
結局、経営層が挑戦を命じたとしても、社員としては、評価されない業務は行えません。経営者の意思決定に応じて社員全体がスピーディーに動くこともできません。
DXの失敗
(1)経営層が、成功体験を捨てて、ベンチャー企業と同じような挑戦をする企業を目指すことは困難です。企業変革を意識した目標設定をすることが困難であり、現場任せのIT化、IT部門任せのIT化で終始してしまいます。
(2)そうなれば、「業務のIT化」「業務改善」「旧システムの刷新」で終わってしまいます。
(3)しかし、本来の目的は、IT化で取得したデータを活用して試行錯誤を高速で繰り返す企業になること、インターネットを利用して世界の消費者に商売する企業になることであるべきです。
DXのために必要なこと
(1)経営層が、危機感を持ちDXの必要性を本気で社員に伝えることが必要です。
(2)経営層は、IT、スタートアップ、海外情勢等いろいろな人の意見を聞いて施策を作成し、様々な人を巻き込んでDXの施策を作成することが必要です。
(3)経営層が具体的な指標を設定し、その改善を具体的に指示することが必要です。
(4)資金、人材等について利害対立が発生した場合には、直接、経営者が関与して調整することが必要になるでしょう。経営者が、新規事業のリーダーと綿密に連絡を取り合って、迅速な対応をする必要があります。
(5)経営者が新規事業の促進に力を入れると社員にメッセージを送るほかに、予算を確保し、人材の確保を周りに働きかけるか、新規事業に採用権限を付与する必要があります。
参考図書
黒革通彦 「マッキンゼーが解き明かす 生き残るためのDX」
DXの具体的な話は記載されていませんが、抽象レベルですが、DXで求められていることが簡潔にまとめられています。
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