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中小企業のIT化・DX

DXとは何か。

2023/05/14 更新

DXとは何か。

(1)私見では、「DXはITを活用してビジネスを変えていくこと」です。

(2)DXは、「次世代の経営環境で生き残れるように、企業文化を変えていくこと」とする考え方もあります。


間違ったDX

 DXは以下のものではありません。

(1)DXは、IT化ではない。デジタル化ではない。

(2)DXは、旧来からあるシステムを刷新することではない。

(3)DXは、業務改善ではない。

DXブームの背景

(1)インターネットが普及し、消費者が世界と直接つながる時代がきました。距離的な制約が薄れ、企業は、世界中の企業と競う時代が来ました。

(2)資本もない小さな企業が、優れたビジネスモデルを作って、ITを使って一気に成長し、老舗大企業を廃業させる時代が来ました。(デジタルディスラプション)

(3)企業が生き残るためには、新しいビジネスモデルに対応することと、ITを活用することが必要になりました。

(4)つまり、DXブームは、老舗企業が次世代で生き残るためには、次々出てくる新しいビジネスモデルに対応する体制と、ITの活用力の向上を目的とした概念です。

GAFAと互角に戦うために必要なこと

(1)GAFAのようなスタートアップ企業が成功した秘訣は以下のように考えることができます。

 ①ITを活用したこと

 ②ITを使って顧客のニーズをデータ化し、試行錯誤の精度を上げたこと

 ③高速で、試行錯誤を繰り返したこと(アジャイル、スタートアップ)

 ④在庫を持たないビジネスを行い、インターネットを使って、少ない資源で世界中の顧客を相手に商売をすることができた(理論上は可能)こと。

(2)GAFAと互角に戦うには、①②④ITを活用する能力能力と、③ニーズにしたがってビジネスモデルを変えていく力が必要です。

大切なのはアイデアではない

(1)ユニコーン企業になるためには優れたアイデアは必ずしも必要ありません。
 ユニコーン企業の中には、先行企業のアイデアを参考にさらに改善を加えて成功した例は少なくありません。

(2)イノベーションで成功するには、アイデアよりも、①5年後の未来を予想し、どんな新しい製品・サービスを作れるかを予想し、どの顧客がどれくらい購入するかを想像する能力です(谷敏行「Amazon Mechanism (アマゾン・メカニズム) イノベーション量産の方程式」32頁以下 )。

DXを実現するための課題

 日本企業がユニコーコン企業と互角に戦うためには、以下の課題があります。

(1)経営者の意識の問題

 企業は、成功を勝ち取ったからこそ存在しているわけです。成功体験を捨てて、ベンチャー企業と同じような挑戦をする企業を目指すことは困難です。経営者が本気でDXに取り組めていないというのが実情です。

(2)IT人材の不足、軽視

 日本では、IT業務を外注先に全て丸投げしてきた歴史があります。IT人材を社員として雇用していないので、IT活用のノウハウが蓄積されないのです。IT業者には、ビジネスの流れが分かりません。ビジネス側では、どうシステムを作ってよいか分かりません。ITを活用するには、両方の知識が必要ですがそのような人材を育てませんでした。

(3)失敗が許されない文化

 日本の人事評価では、挑戦は評価されません。「例えば、100億円の利益が出せる事業に挑戦したが、失敗して成果が出なかった。」場合に、固定的な評価制度で評価はされません。

 例えば、10年後に利益がでることが予想される事業に挑戦しても、その年について利益が出ない場合にも、固定的な評価制度で評価はされません。

(4)経営者の意思決定が社員に届いていない

 経営層が挑戦を命じたとしても、社員としては、評価されない業務は行いません。経営者の意思決定に応じて社員全体がスピーディーに動くこともありませんでした。

DXの失敗

(1)経営層が、成功体験を捨てて、ベンチャー企業と同じような挑戦をする企業を目指すことは困難です。企業変革を意識した目標設定をすることが困難であり、現場任せのIT化、IT部門任せのIT化で終始していました。

(2)そうなれば、「業務のIT化」「業務改善」「旧システムの刷新」で終わってしまいます。

(3)しかし、本来の目的は、IT化で取得したデータを活用して試行錯誤を高速で繰り返す企業になること、インターネットを利用して世界の消費者に商売する企業になることであるべきです。

DXのために必要なこと

(1)DXは、IT技術者だけではできません。現場はITが分かりません。IT業者には現場の業務が分かりません。経営者としての能力がなければ、企業としての課題を正確に見抜くことはできません。現場とIT部門と経営層が一体となって動くことが必要です。まずは、経営層が、DXについて、IT、スタートアップ、海外情勢等いろいろな人の意見を聞いて理解することがスタートです。

(2)経営層が、企業の課題を把握して、(これを解決するための)DXのビジョンを立ち上げる必要があります。

(3)経営層が、直接、DXプロジェクトに関与し、時間を割くことが必要です。例えば、資金、人材等について利害対立が発生した場合には、直接、経営者が関与して調整することが必要になるでしょう。経営者が、新規事業のリーダーと綿密に連絡を取り合って、迅速な対応をする必要があります。

(5)経営者が新規事業の促進に力を入れると社員にメッセージを送るほかに、予算を確保し、人材の確保を他部署に明じ、積極的に、DXプロジェクトに関与することが必要です。

参考

 黒革通彦 「マッキンゼーが解き明かす 生き残るためのDX」

 抽象レベルですが、DXで求められていることが簡潔にまとめられています。

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