DAO(ダオ)
2023/05/13 更新
DAO(ダオ)
(1)DAO(ダオ)は、Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)という意味です。
(2)web3は、ブロックチェーンを使って、企業や国等(の管理)を排除して、参加者がウェブ上の権利報を管理する技術・世界観です。
(3)web3では、利用者自身がブロックチェーン(のプログラム)を運営しますが、その運営の仕組み(組織)をDAO(ダオ)と呼びます。
(4)以下では、「利用者」と「参加者」を同じ意味で使います。
DAO(ダオ)の仕組み
(1)例えば、仮想通貨(のプロジェクト)は、企業や国等に管理されていませんが、日々進化しています。これを支えるのは、DAO(ダオ)の仕組みです。
(2)仮想通貨(のプロジェクト)のために、参加者が作業をすると、対価として仮想通貨が支払われます。
(3)仮想通貨(のプロジェクト)の方針は、参加者が投票で決定します。
DAO(ダオ)では、参加者は匿名で参加しており、他の参加者を全く知らないのが普通です。匿名の参加者が改善提案をして、その採否によって意思決定がされる仕組みです。
改善提案をするのにも仮想通貨を消費する仕組みにするのか、改善提案をすると仮想通貨が付与される仕組みにするのかは、参加者が投票で決定した運営方針の問題です。
(4)仮想通貨(のプロジェクト)を発案した人はいますが、発案者は参加者の一人にすぎません。したがって、gプロジェクトを支払する管理者は存在しないというのが建前です。
参考
千野剛司「仮想通貨とWeb3.0革命」50頁
ハーバードビジネスレビュー2022年12月号122頁
パブリック・ブロックチェーンと、プライベート・ブロックチェーン
(1) パブリック・ブロックチェーンは、世界中の誰でも許可なく、参加できる仕組みです。
DAOが成立するのは、パブリック・ブロックチェーンです。
(2)プライベート・ブロックチェーンは、企業や国がブロックチェーンの技術を使うことをいいます。
例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループは、MUFGコインの開発をしています。MUFGコインは、プライベート・ブロックチェーンです。
MUFGコインでは、「1コイン=1円」での交換を三菱UFJ銀行が保障する(スティーブルコイン)ことで、低コストな送金手段として活用が検討されています。
MUFGコインでは、その管理・運営の責任は、三菱UFJフィナンシャル・グループが負います。
参考
千野剛司「仮想通貨とWeb3.0革命」72頁、162頁
DAOの立ち上げ
(1)ブロックチェーンのプロジェクトを立ち上げるには、発案者がSNS等で初期段階のアイデアを発表し、資金を集めます。出資者には、トークン(仮想通貨)を渡します。
(2)トークンを渡す意味は、投資契約ではなく、株式会社の出資に近く、プロジェクトの意思決定に参加する権利という意味が強いといえます。(改善提案をしたり、投票したりするのにトークンが必要になる等の仕組みがとられます。)
(3)理論的には、発案者はプロジェクトの参加者の一人という立場であり、他の参加者と同様の権利しか持ちません。
(4)トークンはプロジェクトへの入場券ですが、プロジェクトにお金を払ってでも参加者したい人が増えてくれば、最終的には、オリジナルの仮想通貨としての意味を持つことになります。
参考
ハーバードビジネスレビュー2022年12月号121頁
プロジェクトでお金を稼ぐ、もしくは、参加者を増やしていくことが必要
(1)DAO(ダオ)に参加する参加者のモチベーションは、プロジェクトから支払われるオリジナルの仮想通貨です。
(2)そのプロジェクトが、ゲームを作成・運営することであるとします。参加者はゲームのバージョンアップ作業を行ってオリジナルの仮想通貨を受けとります。そして、そのゲームの参加(もしくはゲームを有利に進める)にはその仮想通貨が必要となっています。
(お金を支払ってオリジナルの仮想通貨を購入する前提になりますが、)お金を支払ってでもゲームを利用したいというユーザーが増えていく限りは、その仮想通貨に値が付きます。この仕組みによって、参加者は利益を確保します。
(3)つまり、そのプロジェクトによってお金を稼ぐ、もしくは、参加者を増やしていくことが必要です。
管理者
(1)魅力あるプロジェクトの維持には、優秀な旗振り役が必要です。実際の、ブロックチェーンのプロジェクトでは、世界中の誰でも許可なく、参加できる仕組みとなっています(パブリック・ブロックチェーン)。しかし、もともとのプロジェクトの発案者や、仮想通貨(トークン)を大量に保有するが者が参加者の一人という立場で、特定の意見を対外的に発表してプロジェクトを牽引していきます。例えば、イーサリアム財団等もその代表例の一つです。
(2)ところで、ある企業がブロックチェーンプロジェクトの管理者だとされてしまうと、ある企業が利用者からお金を受け取って仮想通貨を渡すことになります。法律は、投資等ビジネス等についてはきびしい規制を課します。銀行並みの組織体制や管理システムを要求されることになりかねません。
しかし、法律の要求する組織体制の維持コストを負担することは現実的ではありません。
(3)ブロックチェーンのプロジェクトでは、旗振り役が存在します。その存在が管理者にあたるかは不明確なまま運営されているが多いです。
参考
千野剛司「仮想通貨とWeb3.0革命」32頁