Q 処分権主義や弁論主義により、裁判所が真実だと考える事実を認定できない場合に、その事実を認定したいことが釈明権の不行使として違法となることはありますか。
2026/03/24 更新
事例
訴訟物
原告は、被告に対し100万円を貸し付けた。原告は、貸金名目でお金を騙しとたれたものであるから詐欺であるとして不法行為で被告を訴えた。
裁判所
裁判所は、不法行為(詐欺)であるとは認定できないが、消費貸借契約に基づく貸金返還請求としては認定できると考えた。
問題点
原告は、不法行為に基づく損害賠償請求権を訴訟物としているから、裁判所が、消費貸借契約に基づく貸金返還請求として100万円の支払いを認定することは処分権主義に反する。
したがって、この場合に、裁判所が原告に消費貸借契約に基づく貸金返還請求として100万円の請求に訴えを変更するように釈明をしてよいか。
結論
最判昭和46年6月11日民集24巻6号516頁を考慮すれば、釈明権の不行使が違法となるのは、①提出ずみの証拠等からすれば出されるべき結論と、当事者が主張しないことによって、弁論主義等の問題から裁判所が出すことができる結論に違いがあり、②当事者が主張を正せば、その結果が大きくことなり、③そのような主張をしないことが明らかに原告の誤解または不注意と認められるようなときということになる。」
したがって、裁判所としては、釈明権を行使しなければ違法とされる事案となろう。
参考
長谷部由起子ほか「基礎演習民事訴訟法 <第3版> 」107頁以下






